アメリカの新型コロナ感染拡大が中国より深刻そうな理由

2020年3月24日(火)21時12分
カシュミラ・ガンダー

もちろん急増の背景には、大規模な検査は最近になって始まったばかりということなど、考慮すべき背景もある。

だがアメリカではまだまだ検査が追いついていない。食品医薬品局(FDA)のスティーブン・ハーン長官は3月上旬、ホワイトハウスで開かれた会見で、「週末までに100万件近い検査が行えるようになる」と述べていたが、その週末にマイク・ペンス副大統領が会見で明らかにした検査実施数は19万5000件をやや上回る程度だった。

ドロバックは、「アメリカでは検査が行われていないケースが多い可能性が高いため、実際の感染者数は報告されている感染者数の10倍にものぼる可能性がある」と指摘する。

感染拡大の傾向を正しく評価できるまでには、まだしばらく時間がかかるだろうとドロバックは言う。いずれにしろ、対策は一刻を争う。「感染拡大を抑制する措置を取らなければ、感染者の数は約5日ごとに倍増していくことが分かっている」

アメリカは2カ月を無駄にした

オンライン出版物「Our World in Data(データで見る私たちの世界)」が集計した各国のデータによれば、アメリカは「人口100万人あたりの検査実施数」で他の国々に大きく後れを取っているとドロバックは言う。彼によれば、ドイツや韓国のような国はアメリカよりも正確に感染者の数を把握している可能性が高い。

「正直言って、アメリカのことが心配だ」と、ドロパックは言う。「どんな感染症も、油断が死につながることを改めて痛感させる。シンガポールや韓国のように迅速に行動した国は感染拡大を抑制できている」

「アメリカは油断していた。アジアから教訓を学び、備えを進めることができたはずの2カ月を無駄にしたことが今の事態を招いている」

「まだ手遅れではないことを祈る」

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