新型コロナ日本感染ルーツとウイルスの種類:中国のゲノム分析から

2020年3月10日(火)11時55分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国の研究者らが新型コロナウイルスのゲノム配列に関して暫定的な研究結果を発表した。それにより日本で感染しているウイルスのルーツや種類も見えてきた。飛行機搭乗とも関係し日本の対策の是非の参考になる。

ウイルス経路マップ──日本人感染者のルーツとウイルスの種類が見える

2月21日、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園(雲南省)に在職する研究者である郁文彬博士(Wen-Bin Yu Ph. D)等が「新型コロナウイルス肺炎の進化(変異)と感染を全てのゲノム学的なデータに基づいて解読する(Decoding evolution and transmissions of novel pneumonia coronavirus (SARS-CoV-2) using the whole genomic data)」という論文(以下、論文)を中国科学院の学術論文プレプリント・サーバーChinaXivに投稿した。

論文受理コードは「chinaXiv:202002.00033v2」だ。 

タイトルにある「SARS-CoV-2」は国際ウイルス分類委員会が、今般の新型コロナウイルスに対して付けた名前で、WHO(世界保健機関)はこのウイルスによって発症した肺炎(新型コロナウイルス肺炎)を「COVID-19」と命名した。

論文は「投稿した(received)」という段階で、まだレフリーによる学術審査を通過した(accepted)という段階まで行っておらず、最終的にレフリーによってどのように修正が要求されるか、あるいは却下されるかは未定だ。この状態(preprint)で公開されているに過ぎないので、それを確実な根拠として分析するわけにはいかないが、しかし日本のメディアで、むしろ決定的な形で(少し歪んで)報道されているので、真正面からデータに当たってみたい。論文は93件のウイルスサンプルの遺伝子情報を調べて比較し、以下のような変異と感染の経路マップを作成している。

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