習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」

2020年2月4日(火)11時55分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

武漢赤十字会が、新型肺炎患者が最も多い武漢の指定病院・協和医院に全国から集まった物資や献金を渡していなかったことが判明。背後に金銭癒着がありネットが炎上。習近平を緊急会議開催へと追い込んだ。

日本の「習近平指導部、対応の誤り認める 新型肺炎で初動に遅れ」という報道は不正確。

武漢赤十字会(紅十字会)で何が起きたのか

武漢赤十字会(中国語では紅十字会)には各地からマスクなどの医療物資や献金が集まっているが、医師や看護婦などを含めて8000人もの従業員がいる協和医院には3000枚しか配布されておらず、肺炎患者治療に関して指定されていない小さな特定の二つの私立病院に3万6000枚のマスクが配られていた。このことを知った中国のネットユーザーは激しく炎上。

まず何が起きたのかを見てみよう。

1月23日に武漢が封鎖されると、武漢市のいくつかの医院が新型コロナウイルス肺炎患者を治療するための医院に指定された。その中で最大の医院が協和医院(正式名:華中科技大学同済医学院付属協和医院)である。700ベッドあり、医者や看護婦を含めて8000人ほどの従業員が患者の緊急治療に当たっている。

ところが23日から29日にかけて協和医院が医院や医者個人の名義で、朋友圈、Wechat、Douban、学習強国など様々なところにマスクや医療用防護服などの物資不足を訴えたり、寄付を求めたりする声を発信してきた。

実はこの日までに中国国内外から多くの支援があり、海外の華人華僑からだけでも5622.8万個のマスク、73.8万着の医療用防護服が届いており、そのほとんどは湖北省、特に武漢に集中的に送られている。

それなのになぜ医療物資が不足しているのか不思議だと、中国共産党機関紙「人民日報」のウェイボーも1月30日17:28に武漢協和医院の訴えを転載している。転載された元の訴えはここにある。これは1月30日12:29に武漢協和医院神経科の医師「Do先生」が発信したものだが、それが削除されたので、ダウンロードしてあった訴えを再掲載したものである。大至急、「防護服3000着、医療用95型マスク5000個、外科用マスク8000個...」などが必要で、協和医院にはもう防護服もマスクもなく、一刻の猶予もないので緊急に助けて欲しいと書いてある。

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