社会階層で投票意識はここまで違う

2019年7月31日(水)16時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

社会への不満のエネルギーを、合法的な改善の方向に向けさせる必要がある。それは学校の政治教育の役割だが、政治や選挙への関心には早い段階から階層格差がある。<図2>は、小学生の家庭の年収と政治的関心のクロス集計結果だ。4~6年生6256人のサンプルによる。

富裕層の子どもほど、政治や選挙への関心が高い傾向が見られる。家庭で政治について話す頻度の差などによるものだろう。これは小学生のデータだが、中学生や高校生になるにつれて、この格差が拡大するとしたら問題は深刻だ。公教育を担う学校は、家庭環境による格差を是正することにも注意を払う必要がある。

低所得層には、辛い思いをしている子どもが少なくないが、子どもたちはそれを政治や経済といった社会の問題と関連付けて考えることができない。「こういう家に生まれたのだから」と割り切ってしまう。こうした認知の歪みを正すには、「法の下の平等」といったお題目を説いて聞かせるだけでは足りない。政治によって、世の中の貧困や不平等が克服された事例を題材として取り上げるべきだ。

現状の日本社会は「支配層による支配層のための政治」という側面が強い。体制が維持再生産されやすくなっている。政治的関心の階層格差は、早い段階で意図的に是正されねばならない。学校における主権者教育、公民教育への期待は大きい。

<資料:『第6回・世界価値観調査』(2010~2014年)
    国立青少年教育振興機構『青少年の体験活動等に関する実態調査』(2016年度)

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