『ライオン・キング』のパクリ疑惑が、実写版大ヒットで再燃中

2019年7月30日(火)17時00分
ジャニス・ウィリアムズ

それ以上に2つの作品は物語の展開が大きく異なる。どちらも子ライオンの成長物語だが、手塚作品は人間と動物の関わりを描いている。そこには悪人も登場するが、主人公を助ける心優しい人々もいる。ディズニー作品には人間は出てこない。

ディズニーは94年の論争時から、手塚作品には一切影響を受けていないと主張してきた。ディズニーに言わせれば、『ライオン・キング』は自社初のオリジナルストーリー。おとぎ話や童話を基にした、それまでのディズニーアニメとは一線を画す作品だ。

手塚プロダクションの松谷孝征社長も94年に米メディアの取材に応じ、ディズニー作品は手塚の漫画とアニメシリーズとは「全く違う」と断言した。松谷はまた、89年に亡くなった手塚治虫はウォルト・ディズニーの大ファンだったから、ディズニーアニメと自分の作品に類似点があれば、光栄に思っただろうとも語った。

前回は手塚プロの「大人の対応」で騒ぎが収まったが、再燃した疑惑は当面くすぶりそうだ。

<本誌2019年8月6日号掲載>


※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。


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