「超大国化」を堂々宣言した中国に、日本は取り込まれるしかないのか

2021年3月16日(火)17時09分
加谷珪一

中国の野心が実現するのかは現時点では分からないが、日本のすぐ隣に基本的な価値観を共有しない超大国が出現しつつあるという現実について私たちは厳しく受け止める必要があるだろう。日本の国内世論は、中国の台頭について見て見ぬフリをし、ただ自国を賛美するという安易な論調であふれ返っている。

各国の軍事費は基本的にGDPの一定割合で推移しており、中国の経済規模がアメリカを超えるということは、経済のみならず安全保障でも中国の脅威が増大することを意味する。国際特許出願件数がアメリカを抜いて2年連続で世界1位になるなど、イノベーションの分野でも中国は圧倒的な立場を確立しつつある。

トランプ米政権以降、米中のデカップリング(分離)が進んでおり、近い将来、世界経済は米欧中という3つのブロック経済圏に集約される可能性が高い。既に日本の対中貿易は対米貿易を上回っており、中国と距離が近い日本はブロック経済化によって、いや応なく中国経済圏に引きずり込まれていくだろう。日本は超大国となった中国とどう対峙するのか早急に戦略を固める必要があるが、残された時間は少ない。

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ