コラム

学生時代から政治に興味...安野貴博がいま政治の道を選んだ理由とその勝算 「やりたかったことにテクノロジーが追いついてきた」

2025年08月22日(金)07時50分
安野貴博

独占インタビューに応じた安野貴博氏(8月6日) TOMOHIRO IWANABE-NEWSWEEK JAPAN

<選挙活動の舞台裏、政党交付金の使い道、チームみらいのこれから、公示直前の「喘息治療薬」騒動、日本とデジタル民主主義の相性、台湾のオードリー・タン氏と比較されることについて──参議院議員となったチームみらい党首の安野貴博氏に独占インタビューで聞き尽くした>

起業家や作家として活動していた若手エンジニアが、「デジタル民主主義の実現」を掲げて志とスキルを持って政治家となったら、たった一人の当選でも日本は変わる可能性があるのでしょうか。

科学ジャーナリスト茜灯里が、気になるトピックスについて関係者に深掘りするインタビュー企画「茜灯里の『底まで知りたい』」。第3回ゲストは、7月の参議院議員選挙で初当選したチームみらい党首の安野たかひろ(貴博)氏です。

筆者はかつてSF関連イベントで安野さんと一緒に登壇したことがあります。当時の安野さんは、AIで作成した岸田文雄首相(当時)の合成音声などで注目されつつある頃でした。常に物静かでニコニコして出しゃばらないけれど、水を向けられると鋭い答えを返していた印象があります。

昨年の東京都知事選出馬(15万票超を獲得するも5位で落選)から1年で、ついに自ら立ち上げた政党の党首として国会議員となった安野さんに「政治家の金銭問題を透明化する秘策」「なぜフィクサー的な立場ではなく自ら国会議員を目指したのか」「台湾の元デジタル担当大臣オードリー・タン氏と自分との比較」などについて聞きました。


【今回のテーマ】参議院議員となって推進するデジタル民主主義とチームみらいの今後

24年7月の東京都知事選出馬の際に用いた「AIあんの」を誰でも活用できる形にして配布したり、25年1月には「デジタル民主主義2030」の実証実験の協働者となる自治体や政党を募ったりしていた安野さんは、なぜ、中立的な立場でなく、自ら政党を立ち上げ、国会議員になってデジタル民主主義を目指そうと思ったのか。

「参議院議員になっての率直な感想」「政党交付金を使って行いたい永田町改革」「比較されることの多い台湾の元デジタル担当大臣オードリー・タン氏との共通点と相違点」「チームみらいの今後」などについて聞いた。

気になる「公示直前の喘息治療薬に関する炎上とその後の改善」についても語ってもらった。

この対談を動画で見る

◇ ◇ ◇

参議院議員になって

 改めて当選おめでとうございます。(インタビュー5日前の)8月1日に臨時国会で参議院に初登院されて、率直な感想を教えて下さい。

安野 初めてづくしでしたね。率直な感想で言うと「転職1日目の新入社員そのものだな」と思いました。参議院って相当広いわけですよ。なので、まず何がどこにあるかというところから色々と把握するのが大変でした。

参議院って本館と分館と別館と第二別館があるんですけれど、分館に行くつもりで第二別館に行ってしまうと、その移動だけで20分ロスするんですよね。「遅刻しないように」「あ、やばい」と思って、すごく走りました。

 でも、今はちょうど探検している気分で、リアルRPGみたいで楽しいんじゃないですか。

安野 そうですね、まさにリアルRPGですね。

 議員会館の部屋の床を党のイメージカラーの緑色にされてましたけど、前々から「当選したら部屋はこうしてやるぞ」と着々と考えていらっしゃったんですか。

安野 当選した後のことは、選挙中は全然考える余裕がなかったです。当選後に徐々にチームのメンバーで考えていきました。

議員はみなさん、部屋を自分の地元の色に染めたり、取り組んでるテーマのものをたくさん置いたりされています。我々だったら、例えばスタートアップとかテクノロジーというところで、カラーが出るもの、かつ、割とカジュアルに話せるような場所も作りたいということで、あんな感じの内装でとりあえずスタートしてみています。

 広さはどれくらいなんですか。

安野 5〜6人が働くオフィス、プラス会議室という感じで、そこそこ広いスペースをいただいています。

 安野さんが7月20日に当選されて初登院までの間のことですが、「PCは品位がないから持ち込めない」と言われたという問題が話題になっていましたね。今はもう解決したんですか。

安野 本会議場と呼ばれる、いわゆるテレビで一番よく見る一番でっかい部屋、そこは(未だに)持ち込み禁止です。

 その後、「ちょっと改善できないのか」というようなアピールはしてみたんですか。

安野 まだそこまではやっていなくて、様子見しながらにしています。委員会と呼ばれる、各々の細かいことを話す部会に関しては、数年前に(PCの)持ち込みがOKになったらしいです。そういう意味では、ちょっとずつ進んでいるようです。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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