最新記事
考古学

ストーンヘンジに新説...先住民を統合し「祖先・宇宙との絆を祝福する」象徴だった?

2025年3月16日(日)14時20分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)
ストーンヘンジ

「世界の七不思議」の1つストーンヘンジは数々の謎を秘めている Chuta Kooanantkul-shutterstock

<重さ6トンの祭壇石は、640キロも離れた場所から運ばれていた。なぜ、どのように? 英南西部の巨石遺跡ストーンヘンジに大胆な仮説が提唱された>

新石器時代の巨石遺跡ストーンヘンジはブリテン諸島のさまざまな地域にいた人々を結ぶ統合の象徴だった──考古学専門誌アーケオロジー・インターナショナルに掲載された論文は、そんな大胆な仮説を提唱している。

この論文は、科学誌ネイチャー掲載の先行論文を基にストーンヘンジの建造目的を探ったものだ。ネイチャー論文は、ストーンヘンジの中心に横たわる重さ6トンの祭壇石がスコットランド北東部から運搬された可能性を示している。

【動画】科学者たちに「衝撃」――ストーンヘンジに新発見

ストーンヘンジがあるのはイングランド南西部ウィルトシャーのソールズベリー平原。祭壇石はそこから約640キロ余りも離れた場所から運ばれてきたことになる。

祭壇石がこれほど遠くから運ばれたのはストーンヘンジが宗教的な役割だけでなく、ブリテン諸島各地の先住民を統合する政治的な役割を持っていたからではないかと、論文の執筆チームは考えた。


ストーンヘンジは先住民と「その祖先および宇宙との永遠の絆を祝福する」象徴だったのだろうと、執筆チームを率いるマイク・パーカーピアソンは述べている。

ストーンヘンジの建造は約5000年前に始まり、その後の2000年間に新たな石を置くなど、いくつかの変更が加えられたとみられている。用途については天体観測から宗教的な儀式の場まで諸説あり、明確な答えは出ていない。

建造中に近くで大規模な祝宴が催された痕跡も発見された。これもブリテン諸島各地から集まった人々が交流した証しだろうと、パーカーピアソンは論じている。

がん検診
がんの早期発見を阻む「金額の壁」を取り払う──相互扶助の仕組みで「医療格差の是正」へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英ユダヤ教会堂襲撃で2人死亡、容疑者はシリア系英国

ビジネス

世界インフレ動向はまちまち、関税の影響にばらつき=

ビジネス

FRB、入手可能な情報に基づき政策を判断=シカゴ連

ビジネス

米国株式市場=主要3指数最高値、ハイテク株が高い 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中