最新記事
関税

日米関税合意に基づく対米投融資、人工ダイヤの米国内生産が有力候補

2026年1月27日(火)17時00分
1月27日、日米関税合意に基づく総額5500億ドル(約85兆円)の対米投融資について、人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画が有力候補になっていることがわかった。2025年7月撮影(2026年 ロイター/Dado Ruvic)

1月27日、日米関税合意に基づく総額5500億ドル(約85兆円)の対米投融資について、人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画が有力候補になっていることがわかった。2025年7月撮影(2026年 ロイター/Dado Ruvic)

日米関税合意に基づく総額5500億ドル(‌約85兆円)の対米投融資について、人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画が有力候補になっていることがわかった。人工ダイヤは半導体製造などに必要な経済安全保障上の重要物資。‌両政府は発電関連事業など複数のプ​ロジェクトと合わせて「第1号案件」として発表したい考えで、3月下旬をめどに検討している高市早苗首相の訪米を待たずに発表する可能性もある。

交渉を知る複数の関係筋が明らかにした。関係筋の1人は「米国は人工ダイヤの国産化を進めたい考えだ。日本企業が関与することで中国に頼らない日米のサプライチェーン(調達網)‌づくりにつなげたい」とロイターに説明した。複数の関係筋によると、人工ダイヤの案件は、ダイヤモンド採掘・流通の世界最大手デビアス社のグループ会社エレメントシックス・ホールディングス(ESH)が関わる。

人工ダイヤは半導体の切り出しや自動車・電子部品などの研磨に使われる経済安保と切り離せない重要物資。現在は主に中国で製造されているが、レアアース(希土類)と同様に輸出管理対象と位置付けられており、日米両国にとって安定的な確保が課題となっていた。米国の内製化に日本企業が買い手や技術協力などの形で関与することで、サプライチェーン強化の日米連携を示すことにもつな​がる。

日米両政府は昨年10月に発出した「日米間の投資に関する共同ファクト⁠シート」に、ESHが絡むプロジェクトとして「高圧・高温によるダイヤモンド砥粒製造施設の建設。日本のサ‍プライヤーやオフテイカー(買い手)による関与を検討」と記載。想定する事業規模は5億ドルとしている。

このほか、「第1号」には大規模な発電プロジェクトも含まれる見通しだ。複数の関係筋は同事業への日立製作所 の参画を想定していると認めた。関与の仕方や想定する投融資額はわかっていない。ロイターは今月、ソフトバンクグループ が絡むデータ‍センター建設の大規模インフラプロジェクトが最終候補に残っていることも伝えてい‍る。

経済産業‌省はロイターの取材に「現時点で決まっていることはないのでコメント‍できない。速やかな案件組成に向けて米国と協議しているところだ」(通商政策局米州課)とした。 日立は「日米両政府とさまざまな議論をしているが、詳細については回答を控える」とコメント。米商務省と在日米国大使館、ESHが所属するデビアスグループにもコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。

一方、トランプ米大統領は26日、交流サイト(SNS)を通じ、韓国製品の輸入関⁠税を一部25%に引き上げると表明した。「韓国の立法府は米国との(貿易)協定を守っていない」と非難するとともに、 「韓国の立法府は、彼らの特権であるわれわれの歴史的な貿易⁠協定を実行していないため、私はここに、韓国に対す‍る自動車、木材、医薬品、その他全ての相互関税を15%から25%に引き上げる」としている。

経産省によると、日米の投融資案件を絞り込むための協議委員会はこれまでに計4回開催された。日本側からは経産省、外務省、財務省、​国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、米側からは商務省、エネルギー省などが参加している。そのうち2回には赤沢亮正経産相とラトニック米商務長官ら閣僚が出席した。米側だけで構成する投資委員会による協議を経て、トランプ氏が案件を最終的に決定することになる。

(鬼原民幸、山崎牧子 取材協力:John Geddie 編集:橋本浩、久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2026トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米1月求人件数、694.6万件で予想上回る 採用は

ワールド

米国防長官、イラン報道でCNNを批判 トランプ氏朋

ビジネス

米GDP、25年第4四半期改定値0.7%増 速報値

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中