最新記事
ロ朝同盟

ロシアと北朝鮮が包括戦略条約、有事に相互支援 プーチン氏24年ぶり訪朝

2024年6月20日(木)11時23分

ロシアのプーチン大統領は19日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と会談した。提供写真。(2024年 ロイター/Sputnik/Gavriil Grigorov)

ロシアのプーチン大統領は19日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と会談した。大統領はウクライナ問題を含むロシアの政策に対する支持に謝意を表明、総書記は両国関係が新たな繁栄の時期を迎えたと称えた。両首脳は「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。

プーチン氏は同条約について、相互防衛条項が盛り込まれており、外部からの攻撃への撃退を相互に支援すると表明。「今日署名された包括的パートナーシップ条約は、特に、この条約の一方の当事国に対する侵略があった場合の相互支援について定めている」と述べた。

 

プーチン氏は、ウクライナが西側から供与された武器でロシア領内の標的を攻撃することに米国など北大西洋条約機構(NATO)加盟国が同意したことに言及。「これは単なる発言ではなく、すでに起きていることであり、これは全て、西側諸国がさまざまな国際義務の枠組み内で受けている制限に対する重大な違反だ」と述べた。

金総書記は、北朝鮮とロシアの関係が「新たな高いレベルの同盟関係」に高まったと発言。今回署名した戦略パートナーシップ条約は両国関係にとって重要かつ歴史的な瞬間だと述べた。

<作戦支持に謝意>

会談でプーチン氏は冒頭、ウクライナ問題を含む「ロシアの政策に対するあなた方の一貫した揺るぎない支持を高く評価している」と述べた。

また、ロシアは米国とその同盟国の数十年にわたる「覇権主義的・帝国主義的政策」と闘っていると主張。またモスクワで金総書記と再び首脳会談を行いたいと述べた。

ロシア通信社によると、金総書記はプーチン氏に「ロシアと北朝鮮の関係は新たな繁栄の時期を迎えている」と表明。「世界情勢はますます複雑化し、急速に変化している」とし、ロシアとの戦略的協力をさらに強化する意向を示した。

ロシアによるウクライナとの戦争に対する「全面的な支持と強固な同盟」を含む「ロシアの全政策」への「無条件の支持」を表明した。

ロシアがウクライナで展開する「特別軍事作戦」についても「ロシア政府、軍、国民に全面的な支持と連帯を表明する」と述べた。

金氏は「ロシアの全ての政策を無条件で揺るぎなく支持することを再確認したい」とプーチン氏に語った。

両首脳は2時間におよぶ1対1の会談にも臨んだ。

<24年ぶりの訪朝>

プーチン氏の訪朝は24年ぶり。19日未明に北朝鮮に到着し、金氏は空港で出迎えて専用車に同乗、プーチン氏が滞在するホテルへ向かった。

訪朝に先立ち、プーチン氏は「われわれは西側諸国に統制されない貿易と相互決済の代替メカニズムを開発し、不当な一方的制限に共同で抵抗する」とし、「ユーラシアに平等かつ不可分な安全保障の枠組みを構築する」と述べていた。

朝鮮中央通信(KCNA)は、両首脳の会談について、朝ロの友好と結束が「無敵で恒久的」であることを示すものだとした。

プーチン大統領の訪朝は、ロシアと北朝鮮がともに国際的な孤立に直面している現在、ロ朝関係の再構築につながる可能性が高いとみられている。韓国と米国は軍事関係の強化に懸念を示している。

米国務省報道官は「ロシアと北朝鮮の協力関係の深化は、朝鮮半島の平和と安定の維持、世界的な核不拡散体制の維持、国連安保理決議の順守、ウクライナ国民の支援に関心を持つ全ての人にとり大きな懸念だ」と述べた。

北朝鮮の主要な政治的・経済的支援国でありロシアにとって重要性を増す同盟国である中国は、表立って反応していない。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問はXで、ロシアと北朝鮮のパートナーシップ締結は「北朝鮮に課せられた国際的な決定、決議、制限の全てを一方的かつ最も厚かましく無効にするものだ」と述べた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米セールスフォース、1000人未満の人員削減実施=

ワールド

ウィリアム英王子がサウジ公式訪問、ムハンマド皇太子

ワールド

マクロスコープ:さまよう「中流票」、選挙結果の振れ

ワールド

中国が香港安全保障白書、本土政府の「根本的な責任」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中