最新記事

事件

国際検察当局「マレーシア機撃墜にプーチン関与の形跡」 証拠得られず捜査打ち切り

2023年2月9日(木)10時04分
撃墜されたマレーシア航空機の残骸

親ロシア派勢力が支配するウクライナ東部上空で2014年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件で、国際検察当局はロシアのプーチン大統領が撃墜に使われたロシアのミサイルシステムのウクライナでの使用を承認した「明らかな形跡」があったと発表した。 写真は2014年11月、ウクライナ東部のドネツクで撃墜されたマレーシア航空17便の機体の残骸を回収する作業員(2023年 ロイター/Antonio Bronic)

親ロシア派勢力が支配するウクライナ東部上空で2014年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件で、国際検察当局はロシアのプーチン大統領が撃墜に使われたロシアのミサイルシステムのウクライナでの使用を承認した「明らかな形跡」があったと発表した。

ただ、プーチン大統領のほかロシア政府高官の関与を示す決定的な証拠は得られなかったため、捜査はいったん打ち切られた。

マレーシア航空17便は14年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールに向かいウクライナ東部上空を飛行中にロシア製ミサイルシステム「ブク」で撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡。死亡者のうち196人がオランダ国籍だった。

検察当局は声明で「ロシア大統領がブクの供給を決定した明らかな形跡がある」と指摘。ただ検察官の一人はハーグで開かれた記者会見で、「捜査は限界に達した」とし、「新たに容疑者を起訴するには不十分だった」と述べた。

この件に関し、ロシア大統領府からコメントは得られていない。ロシアはこれまでも関与を否定している。

同航空機が撃墜された時期、ウクライナ軍は東部ドネツク州の親ロシア派と戦っており、その8年後の22年2月のウクライナ全面侵攻開始から約7カ月後にロシアはドネツクを含む地域を一方的に「併合」した。

ウクライナのコスチン検事総長は、ロシアのプーチン大統領を裁判にかけるために「全ての国際的な法制度を利用する」と表明。オランダのルッテ首相は、引き続き「ロシア連邦の責任を追及する」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、10月は前月比・前年比とも伸び

ワールド

オーストラリア、銃乱射事件受け規制強化へ 無期限許

ワールド

ウィットコフ氏とクシュナー氏、ガザ巡りEU加盟各国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中