最新記事

環境

自然環境に出ると自己分解する「タイマー付き」プラスチック

This Plastic Self-Destructs Within Two Years

2022年10月19日(水)16時35分
パンドラ・ディーワン

この技術は、プラスチックが化石燃料由来でも植物由来でも組み込むことができ、幅広い用途に使うことができる。

「テイクアウト容器からカトラリー、カップ、買い物袋、バッグまで、ポリプロピレンまたはポリエチレンのプラスチックであれば、さまざまな用途に応用できる」とオルサウスカイトは言う。

10月9日に開催されたバンク・オブ・アメリカ・シカゴマラソンでは、この技術のデモが行われた。マラソンに参加したランナーたちに配布されたサトウキビ由来のポリエチレン製バッグに、ポリマテリアのバイオトランスフォーメーション技術を用いられていたのだ。ポリマテリアによれば、世界初の植物由来で「リサイクルおよび生分解可能なバッグ」だという。

新たな添加剤を足すだけ

この技術の導入には新しい設備も必要ない。

「製品の製造段階で、新たな機能を付加するための専用の添加剤(マスターバッチ)を加えるだけなので、コスト効率が非常に高い」とオルサウスカイトは言う。「生産ラインを変更せずに、すぐ生産規模を拡大できる」

マスターバッチは最終製品のごく一部にすぎないため、このプラスチックを生産する際のエネルギー消費量は、標準的なプラスチック袋とほとんど変わらない。最終製品の価格は、従来のプラスチックと比べて10〜15%高い程度だという。

「当社の目標は、生産者やブランドに、100%再生可能な素材に切り替えてもらうことだ」とオルサウスカイトは話す。「私たちの技術は、プラスチックの設計方法に、本当の意味で革命を起こすことができると思う」
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ビジネス

SHEIN、米事業再編を検討 関税免除措置停止で=

ビジネス

中国中古住宅価格、4月は前月比0.7%下落 売り出

ビジネス

米関税で見通し引き下げ、基調物価の2%到達も後ずれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中