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非核化

米朝首脳会談は果たして実現するか? 失敗の歴史を振り返る

2018年5月20日(日)21時00分

5月16日、トランプ米大統領(右)は、来月開催予定の北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)との首脳会談の実現が不透明な情勢になっていることを認めたが、朝鮮半島の非核化を主張は続けるとの立場を示した。金氏の写真は2016年10月KCNA提供。トランプ氏はニューヨークで2016年5月撮影(2018年 ロイター/KCNA /Lucas Jackson)

トランプ米大統領は16日、来月開催予定の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談の実現が不透明な情勢になっていることを認めたが、朝鮮半島の非核化を主張は続けるとの立場を示した。

北朝鮮は、米国が核開発計画放棄を一方的に主張し続けるならば米朝首脳会談への出席を再考する可能性があるとして、会談中止をちらつかせた。

北朝鮮に核放棄を促すため過去に行われたさまざまな試みは、北朝鮮が他国から攻撃される可能性を懸念したほか、米朝の敵対関係もあり、失敗に終わっている。

トランプ大統領と金委員長による史上初の米朝首脳会談が来月12日に計画された今回の経緯と、過去の失敗の歴史を振り返る。

●2017年─2018年、トランプ氏登場と歴史的計画

2017年1月に大統領に就任したトランプ氏は、北朝鮮問題で中国の習近平・国家主席に支援を求めた。韓国では同年5月、北朝鮮との対話路線を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に当選した。

米国に到達可能なミサイル発射実験などを北朝鮮が強行したことを受け、トランプ大統領は同年9月、国連演説で、米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなると脅す一方、金委員長のことを「ちびのロケットマン」と罵倒した。金氏も「錯乱した米国の老いぼれを炎で黙らせる」との声明を出して応酬し、緊張が高まった。

石炭や鉄鋼、海産物などの禁輸措置を含めた、北朝鮮に対する国連経済制裁の強化を米国が主導。トランプ大統領は11月、韓国の国会で演説し、対話を求めるならば、北朝鮮は非核化に向けた行動を取らなければならないと述べた。また、2008年に解除されていた北朝鮮のテロ支援国指定を再導入した。

韓国の平昌で開催された2018年冬季五輪は、北朝鮮が代表選手団を派遣するなど、大きな転換点となった。

そして3月、トランプ大統領と金委員長は、史上初となる米朝首脳会談の開催で合意。北朝鮮は、ミサイルと核兵器の実験を凍結すると表明し、トランプ氏は過去に罵り合った金氏のことを「極めて尊敬すべき人物だ」と称賛した。

トランプ大統領は10日、米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで行われるとツイートで発表した。

北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)の核実験場を今月解体するとして、その詳細な計画を公表している。

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