最新記事

貿易

日米首脳、新通商交渉開始で合意 安倍首相「米国の2国間交渉への関心承知」 

2018年4月19日(木)09時30分

 4月18日、トランプ米大統領と安倍晋三首相は、長く同盟関係にある日米間の通商協議を加速させることで合意したと明らかにした。(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

安倍晋三首相は米東部時間18日、2日目の日米首脳会談後、トランプ米大統領と共同記者会見を行い、茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で新しい通商交渉を開始すると述べた。安倍首相は米国が2国間交渉に関心を持っていることを認めつつ、日米にとっては環太平洋連携協定(TPP)が最善との立場で交渉していく方針を示した。

安倍首相は、今回の首脳会談で自由で公正な貿易・投資を目指すための協議を開始することでトランプ大統領と一致したことを明らかにするとともに、茂木再生相とライトハイザーUSTR代表が責任者になるとした。この枠組みで決まったことは、麻生太郎副総理とペンス副大統領による対話の枠組みに報告されると説明した。

そのうえで「米国が2国間の交渉に関心があることは承知している」としながら、「日米にとってTPPが最善であると考えて交渉に臨む」との立場を明らかにした。

また、米国が実施している鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置に関して、日本が適用除外になっていないことについて、日本の製品は高品質で代替性がないものが多く、米国の産業と雇用に多大な貢献をしていると指摘。適用除外に向け「引き続き交渉していく」との方針を示した。

対北朝鮮問題では、1994年や2006年における核放棄の約束が北朝鮮によって破られてきたことを指摘しつつ、完全かつ検証可能で不可逆的な核の廃棄を求める立場に変わりはなく、今回の日米首脳会談では、対北朝鮮政策のすり合わせを行ったと強調。対話を始めるだけでは北朝鮮に対して見返りを与えない確固とした方針を確認したと述べた。

そのうえで米朝首脳会談で「事態が打開されることを強く期待する」と語った。さらに拉致問題では「解決に努力することで日米が一致した」と強調した。

対北朝鮮問題で日本が取り残されているのではないかとの質問に対し、安倍首相は「取り残されるという懸念は、全く当たらない」と述べたうえで、「トランプ大統領と話し合い、(北朝鮮問題で)完全に見解の一致を見た」と述べた。

(田巻一彦)

[パームビーチ(米フロリダ州)/東京 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港GDP、第3四半期は前年比+3.8% 予想上回

ワールド

北朝鮮の金永南・前最高人民会議常任委員長が死去、9

ワールド

高市首相、来夏に成長戦略策定へ 「危機管理投資」が

ワールド

マクロスコープ:国会本格論戦へ、立憲は消費減税で攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中