つまり文政権の態度は目新しいものではなく、実のところ韓国の保守・革新両政権の行動パターンに沿っている。より懸念すべき問題は、検閲志向を見せ始めたこの政権が、北朝鮮という世界で最も独裁的な体制への接近を続けていることだ。

文は南北再統一に向けた第一歩として連邦制統一案を主張。補佐官に、親北朝鮮の学生らを率いて投獄されたことのある人物を指名して論議を呼んだ。さらに北と歩調を合わせるように、再統一は外部の関与を排して「わが民族同士で」と訴える。

南北が共通の再統一構想を持つことこそ、金正恩に非核化という「誓約」の履行を促し、アメリカの先制攻撃とそれに伴う朝鮮半島の壊滅的事態を回避する上で最も有効だと韓国政府は判断している。

朝鮮半島の再統一は主に、体制崩壊した北朝鮮が自由で民主的な韓国に吸収されるという形で構想されてきた。しかし「南北連邦国家」では、伝統的な自由民主主義は実現しない可能性が高い。少なくともそこに、報道や学問の自由はなさそうだ。

<本誌2018年4月24日号掲載>

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