最新記事

ベンチャー

ソフトバンクのウーバー出資が引き金となり、東南アの配車市場再編も

2017年11月21日(火)13時06分

11月21日、ソフトバンクグループが米配車大手ウーバーテクノロジーズに出資する計画を発表したことを受け、業界関係者の間では、東南アジアの配車サービス市場で再編が起きるのではないかとの見方が浮上している。写真は都内で2014年12月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

ソフトバンクグループ<9984.T>が米配車大手ウーバーテクノロジーズ[UBER.UL]に出資する計画を発表したことを受け、業界関係者の間では、東南アジアの配車サービス市場で再編が起きるのではないかとの見方が浮上している。

ソフトバンクとドラゴニア・インベストメント・グループが主導する企業連合は先に、ウーバーに10億─12億5000万ドル出資し、ウーバー株の最大17%を取得する計画を発表。ウーバーは12日、計画が進展していることを明らかにしている。

ソフトバンクは、ウーバーのライバルである東南アジアのグラブ、中国の滴滴出行、インドのオラにも出資。

一方で、アジアの配車サービス市場は競争が激しく、顧客やドライバーの確保のため、値引きやプロモーション費用の負担が重くなり、利益率が低下している。

グラブに近いある関係筋は、匿名を条件に「ソフトバンクが業界再編で役割を担うだろう。同社は(ウーバーとグラブの)取締役として、基本的な対話の方向性を変えていくはずだ」と指摘。

「両社の東南アジア事業を統合する合理性は非常に高い。ウーバーは(東南アジア事業の)赤字を圧縮でき、(グラブが進出しているデジタル決済事業の)権益も確保できる」と見方を示した。

ソフトバンクとグラフはコメントを控えている。

ウーバーは昨年、滴滴出行に出資して中国から撤退しているが、同筋によると、ウーバーとグラブが提携する場合も、同様の形態になる可能性が高い。

過剰投資

ソフトバンクは、まだウーバーへの出資を確定しておらず、グラブとの提携についてウーバー側と協議したかどうかは不明だ。

ウーバーはコメントを控えているが、ダラ・コスロシャヒ新最高経営責任者(CEO)は、ニューヨーク・タイムズ主催の会合で「(当社の)競争力は非常に高い」としながらも、東南アジア事業については「現時点で資本投下が過剰だ」と指摘。「前のめりになって進出しているが、近い将来の黒字化を楽観してはいない」と述べている。

ソフトバンクやウーバーに近い筋によると、両社の株主は、もうしばらく競争の行方を見守りたいとの立場だが、「ウーバーの東南アジア事業を閉鎖すれば、損失を圧縮でき、資金も調達できる」というのがウーバーのある株主の見方だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中