最新記事

カルチャー

米歌手「私は日本人」発言に「他国文化の盗用」批判...ここまで炎上するには訳があった

Kyle Richards' Reply to Gwen Stefani 'I'm Japanese' Comment Sparks Debate

2023年1月13日(金)18時57分
ライアン・スミス
グウェン・ステファニー

グウェン・ステファニー(2014年8月) Kevork Djansezian-Reuters

<日本への親近感を示した発言が、「文化盗用」だとして歌手のグウェン・ステファニーに批判が殺到した背景には、過去の「前科」が>

米シンガーのグウェン・ステファニーが1月10日、雑誌「アリューア」のインタビューで、「私は日本人」と発言したことが議論を呼んでいる。以前から日本への親近感をパフォーマンスなどにも反映させてきたステファニーだが、今回の発言が「他国文化を儲けのために利用している」などの批判を呼んだのには理由があった。

【写真】日本人のステレオタイプを助長し、金儲けに利用? ステファニーの「文化盗用」疑惑

今回の発言は、アイルランド系の父とイタリア系の母をもつステファニーが、日本企業ヤマハの従業員だった父の影響で、故郷カリフォルニアと日本を行き来するうちに日本文化に触れるようになったいきさつを語ったなかでのものだった。

「私はそうやって日本文化の影響を受けた。日本文化は、豊かな伝統があるにもかかわらず、とても未来的で、芸術、細部、秩序に配慮が行き届き、とても魅力的だった」。ステファニーは、同誌記者のジェサ・マリー・カラオールに対してそう語っている。

スカパンク(ska-punk)バンド「ノー・ダウト」の元ボーカルで、2004年の「リッチ・ガール」のヒットなどでも知られるステファニーは、大人になってから東京の原宿を訪れた。そして、時代の最先端を行くファッションと雑多なショップで有名な原宿にインスピレーションを受け、2008年には、香水「原宿ラバーズ」とアパレルラインを発表した。

ステファニーはインタビューで、日本文化を体験したときを振り返り、「ああ、気づいていなかったけど、私は日本人なんだと思った」と語り、「そう、私は日本人なの」と続けた。

記者がステファニーの意図を誤解した?

インタビューの翌日、ステファニーの代理人が同誌に連絡を入れ、記者はステファニーが言わんとしていたメッセージを誤解したと述べたが、公表を前提とした釈明を出すことは差し控えた。

ステファニーはこのインタビューで、自身が育ったカリフォルニア州オレンジ郡アナハイムのヒスパニック系とラティンクス(Latinxはラテン系のジェンダーニュートラルな表現)系のコミュニティに親近感を抱いているとも明かしている。「そのコミュニティで耳にした音楽や、女性が身に着けるメイクアップにファッション、それが私のアイデンティティ」と語った。

「私はイタリア系アメリカ人とアイルランドやいろいろが混ざった雑種のようなものだけど、そうやって私は育った。そういう人たちが家族のようなものだった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

補正予算案が衆院通過へ、予算委で可決 16日にも成

ビジネス

米アメックス、感謝祭週の国内小売支出が9%増加=C

ビジネス

午前の日経平均は続落、朝高後に軟化 ソフトバンクG

ビジネス

米経済金融情勢の日本経済への影響、しっかり注視=米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中