最新記事

映画

トランプが韓国映画『パラサイト』アカデミー受賞にケチ? 多様性認めぬアラ探し、映画界の外野から

2020年2月24日(月)19時12分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

トランプの発言にメディアは?

このトランプ大統領の演説が報道されると、『パラサイト』のアメリカでの配給会社NEONは21日公式Twitterで、演説動画と共に「Understandable, he can't read. (理解できるよ。彼は(映画を)読み取れてない。)」と皮肉めいたツイートをアップしている。

また、CNNの記者Chris Cillizzaは、21日「Donald Trump's fundamentally un-American 'Parasite' critique根本的に反アメリカ的なドナルド・トランプのパラサイト批評」と称し、トランプ大統領を批判する意見を述べた。Chris Cillizzaは、「『パラサイト』のアカデミー賞受賞を祝うよりも、多様性を酷評する行為は純然と反アメリカ的行為そのものだ」と訴え、「トランプ大統領は、自分のビジョンが米国の建国原則と相反しているということを理解していない」「米国は基本的に、多様性をほめたたえて、メディアの自由と多様な観点を奨励する」と強調した。

巧みに切り返したNYタイムズ

ワシントンポストやニューヨークタイムズ紙でもこの発言は取り上げられた。特に、ニューヨークタイムズ紙では、22日にコラムニストMaureen Dowdが「アメリカのパラサイト」というタイトルで、トランプ大統領の演説は"外国人嫌悪的映画批判"と指摘した上で、「トランプ大統領は奴隷制度をロマン化した映画や、消えた過去に執着する老人俳優が出ている映画がお好きなようだ」とし、「映画『風と共に去りぬ』ではアトランタが火炎に包まれたが、トランプバージョンではワシントンが燃えている」と皮肉たっぷりの記事を掲載した。

歌手であり、数多くの映画にも出演している大御所女優ベット・ミドラーも、21日自身のTwitterで「ドナルド・トランプ大統領が、映画パラサイトのオスカー受賞を批判しましたが、私はホワイトハウスに寄生虫(パラサイト)が暮らしているという事実の方が腹が立つ」と、映画のタイトルに掛けた彼女らしい批判ツイートをアップして話題となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中