最新記事

投資

大損したテスラ株依存ファンド 反転攻勢の戦略にも暗雲

2023年1月7日(土)11時53分
テスラのEV

米電気自動車(EV)大手・テスラの株価が急落し、同社株に積極投資してきた多くの資産運用会社は悪夢に悩まされている。写真は昨年12月、バンコクで開かれた同社のイベントで撮影(2023年 ロイター/Athit Perawongmetha)

米電気自動車(EV)大手・テスラの株価が急落し、同社株に積極投資してきた多くの資産運用会社は悪夢に悩まされている。

アクティブ運用を手がける米株式ファンドのうち、テスラ株の組み入れ比率が5%を超えるファンドは50本ある。通常、多くの資産運用会社は投資分散の観点から、1銘柄の組み入れ比率を5%以下に抑えている。

モーニングスターによると、これら50本のファンドは昨年、平均42.1%下落し、下落率は米株式ファンド全体の平均17%の2倍以上に達した。テスラ株の組み入れ比率が約52%に達するバロン・パートナーズ・リーテール・ファンドは43%近く下落している。

マスクのツイッター買収でテスラ株65%下げ

テスラ株は昨年約65%下げた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッター買収を決めると、テスラの経営に集中できなくなるとの懸念から下落が加速した。

テスラ株は12月に37%急落した上、今年最初の取引となった1月3日には12%余りも急降下。物流の問題などによって、第4・四半期納入台数が予想を下回ったことが嫌気された。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は、テスラ株に強気な投資家の一部も、同株がさらに1年間低迷を続けるとみて、ポジションを減らすかもしれないと話す。

「こうした多くの機関投資家は今、岐路に立たされている。どちらに向かうかはマスク氏による部分が大きい」とアイブズ氏は指摘。「ツイッター騒動によって火を付けたのはマスク氏であり、鎮火して市場の注目をファンダメンタルズに引き戻すことができるのは、彼1人だけだ」と続けた。

マスク氏は、昨年10月に総額440億ドルのツイッター買収を完了。すぐに同社幹部らの解雇に着手し、従業員の半分以上は退職した。この間、マスク氏はツイートするごとに戦略をコロコロと変えた。

フォーブズ誌によると、マスク氏の資産は1000億ドル超も減り、世界一の富豪の座から転落した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:「暑さは人を殺す」、エネルギー補助削減で

ビジネス

アングル:米国の通関手続き複雑化、関税で代行業者に

ワールド

訪米中の赤沢再生相、ラトニック商務長官と電話会談

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 10
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中