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東日本大震災

震災時、医薬品卸の現場の使命感が過酷な状況の病院を支えていた

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2018年3月9日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

さらに、「医薬品物流・通信の完成されたシステムを有する」、地域の医療機関の諸事情を日頃から熟知しているなどの理由から、「他のいかなる供給方法よりも卸ルートが優位に立つ。卸の機能やネットワークが基本的に維持されている限り、災害時といえども、中央集権でなく、卸ルートの方が、迅速かつ効率的である」と評価した。

厚労省が卸ルートの強みとして挙げた「医薬品物流・通信の完成されたシステム」は、欧米のそれとは大きく異なる。米国や欧州の卸が、受発注・在庫管理と一部配送機能に特化する傾向があるのに対し、日本の卸は、価格交渉や債権管理、情報提供、販売促進までを自社で総合的に行っている。このように総合機能を有し、地域に密着した活動を行う日本の医薬品卸の業態が、災害時の医薬品供給の対応においても極めて有効であることが実証されたと言えるだろう。

医薬品卸が直面する偽造医薬品の問題

このように独自の総合機能を持つ日本の医薬品卸業界は、かつては偽造医薬品(偽薬)の問題に強いと考えられていた。偽薬は「開発途上国の問題」であり、日本では流通経路が高度に管理されているので偽薬の流通は生じないとされてきたのだ。

医薬品のトレーサビリティが重要に

医薬品のトレーサビリティが重要になっている akova-istock

だが、インターネットの普及などで偽薬が世界的に拡大している。世界保健機構(WHO)は、偽造医薬品の世界的な売り上げが2010年に750億ドルに達したと報告。日本でも、ED治療薬やC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽薬の被害が報告されるなど、安全と信頼が脅かされる事案も起きている。

トレーサビリティ強化で偽造医薬品問題に取り組む

偽薬を流通させないようにするには、医薬品の製造ロット番号や有効期限などの情報を管理するトレーサビリティ――生産から消費(または廃棄)までの過程を追跡できること――の手法を強化し、対象を拡大することが必要だ。欧米では近年そうした情報を含む2次元バーコードを販売包装単位に表示することが義務付けられ、順次実施されている。

日本でも医薬品のトレーサビリティは、医薬品の回収や院内での取り違え防止などの有効な手段として表示の範囲拡大が行われて来たが、ここへきて偽造医薬品の流通への混入防止の観点からも、更なるバーコードの利活用に向けた取組みが必要とされている。

どんなときも頼れる医薬品流通に期待

東日本震災時に対応した東北で事業展開する医薬品卸企業からも、「医薬品は供給したが、患者さんに薬が届いたかどうかまでは把握できなかった」として、災害時の情報管理を課題とする声があった。トレーサビリティの強化は、有事・平時を問わず安全、確実な医薬品流通を実現するのに役立つことだろう。

世界に例を見ない総合機能を備える日本の医薬品卸企業と、地域を熟知し高い使命感を持った社員たちが、我々の見えないところでどんなときも頼れる"ライフライン"を担ってくれている。



エンサイス株式会社

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