コラム

なぜこれほど詩的なのか イランの地方都市の写真が輝きを放つ

2018年03月01日(木)19時03分

From Hojjat Hamidi @hojjathamidi 

<イランやコーカサス地方では詩的な写真は珍しくないが、30歳のアゼルバイジャン系イラン人、ホジャット・ハミディの写真は他とは違う>

子供時代に感じた原風景として、あるいは自らのアイデンティティーとして、自分の故郷を撮り続ける写真家は多い。今回取り上げる、アゼルバイジャンとの国境に近いイランの街アルダビルに住むホジャット・ハミディもその1人だ。30歳のアゼルバイジャン系イラン人である。

アルダビルは50万人以上の人口を抱える中都市ながら、コーカサス地方の農村地帯にも似た牧歌的な風景も内包している。タイムスリップしたかのような歴史的な旧市街もある。ハミディはそうした街の日常の中で、素朴さを切り取っているのである。

撮影時の立ち位置、あるいは被写体までの距離感、また光の取り入れ方と構図のつかみ方が巧みだ。それがアルダビルの田園風景をより詩的にしている。

とはいえ、そうした要素だけでは、それほど印象的な写真にならなかったかもしれない。なぜなら、インスタグラムで写真家たちが刺激を与え合うようになった近年、同じように詩的な写真はごく当たり前のように存在するからだ。イランやコーカサスなどでは、とりわけそうである。

そうした中でハミディの写真が輝きを放っているのには、2つの理由があるだろう。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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