ニュース速報
ワールド

中国軍事演習2日目、台湾周辺で「権力奪取能力を検証」 実弾搭載か

2024年05月24日(金)16時29分

 5月24日、中国軍は、2日目となる台湾周辺での軍事演習を開始した。人民解放軍東部戦区は声明で「合同で権力を奪取し、合同で攻撃を仕掛け、主要地域を占領する能力を検証する」ことが目的だとした。写真は空軍基地に着陸の準備をする台湾空軍機。台湾の新竹市で撮影(2024 ロイター/Ann Wang)

Bernard Orr

[北京/台北 24日 ロイター] - 中国軍は24日、台湾周辺で2日目の軍事演習を開始した。人民解放軍東部戦区は「合同で権力を奪取し、合同で攻撃を仕掛け、主要地域を占領する能力を検証する」と表明した。

中国国営の中国中央テレビ(CCTV)によると、中国軍はこの日、実弾ミサイルを搭載した複数の爆撃機を演習に参加させた。爆撃機は、台湾の東海域でいくつかの攻撃隊形を組み、海軍の艦艇と連携して模擬攻撃を行ったという。

東部戦区はSNS(交流サイト)ウィーチャットにアニメーション動画を投稿。動画では、台湾に向けて陸海空からミサイルが発射され、火の玉となって台北、高雄、花蓮の各都市に激突。締めくくりには台湾で使われる繁体字の赤字で「独立を殺す神聖な武器」と表示される。

台湾国防部(国防省)は24日、ミサイルを装備したF─16戦闘機が上空を哨戒する写真を公表した。

軍事演習に参加している中国海警局の船や艦艇の写真も公開した。撮影日時は不明。国防部によると、24日午前6時(日本時間午前7時)時点で中国軍機49機、海軍艦艇19隻、海警局船7隻を確認。中国軍機28機が台湾海峡の中間線を越え、海軍基地がある北部基隆市から約74キロまで接近したものもあったという。

台湾の安全保障当局高官は、中国の爆撃機数機が、台湾とフィリピンを隔てるバシー海峡の東端付近で外国船に対する模擬攻撃を行い、日本、台湾、フィリピン、ボルネオ島を結ぶ「第1列島線」の西側を完全に掌握する方法を訓練したとロイターに語った。

また高官は、中国海警局が台湾東沖で民間船舶の模擬検査など「嫌がらせ」を目的とした訓練も行ったと明かした。海警局は声明で、同海域で「法執行訓練」を行ったと発表した。

CCTVは、中国軍のフリゲート艦が台湾海峡で哨戒・訓練を実施していたところ、0.6カイリの距離をおいて台湾船が追尾してきたと伝えた。

米海軍第7艦隊は、インド太平洋における「全ての活動」を注視しており、同地域での侵略行為を阻止する責任を「非常に真剣に」受け止めていると述べた。

中国共産党機関紙・人民日報は24日の論評で、「台湾地区指導者」の最近の行動は台湾独立派勢力の「壊滅」を加速させるだけだと指摘。中国は「平和統一のための広い空間」をつくることを望んでいるが、台湾「分裂活動」の余地を決して残さないと強調した。

アナリストによると、演習はこれまでのところ2022年の同様の演習よりも規模が小さいが、不測の事態が起きるリスクはなお高まっている。

*カテゴリーを追加して再送します

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ全域で通信遮断、イスラエル軍の地上作戦拡大の兆

ワールド

トランプ氏、プーチン氏に「失望」 英首相とウクライ

ワールド

インフレ対応で経済成長を意図的に抑制、景気後退は遠

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中