ニュース速報

ワールド

再送インタビュー:韓国大統領、北朝鮮核実験なら前例のない対応へ 中国に抑止要求

2022年11月29日(火)13時37分

 韓国の尹錫悦大統領はロイターとのインタビューに応じ、中国には北朝鮮の行動に影響を与える責任があるだけでなく、その能力もあると述べた。ソウルで28日撮影(2022年 ロイター/Daewoung Kim)

(不要な記号を削除しました)

[ソウル 29日 ロイター] - 韓国の尹錫悦大統領は28日、ロイターとのインタビューに応じ、北朝鮮が核実験に踏み切った場合、同盟国と共同で前例のない対応を取ると警告したほか、北朝鮮にとって最も密接な同盟国である中国に核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を抑止するよう呼びかけた。

中国には国連安全保障理事会常任理事国として責任があると指摘。そうしなければこの地域への軍事資産の流入につながるとの認識を示した。

尹大統領は「確かなのは、中国には北朝鮮に影響を与えることができ、プロセスに関与する責任があるということだ」と指摘。平和と安定のために影響力を行使するかどうかは、中国の判断次第だと述べた。

北朝鮮の行動が日本など周辺国の防衛費拡大のほか、米軍の配備増強につながっているとの見方を示し、北朝鮮に非核化を促す「最善の努力」をすることは、中国の利益にかなっていると語った。

北朝鮮が新たな実験を行った場合、韓国と同盟国がどうするのかとの質問には「過去に見られなかった」対応を取ると強調した。ただ、詳細には触れなかった。

その上で「北朝鮮が7回目の核実験を行うのは極めて愚かなことだ」と明言。国際的な対応に一貫性がなかったことが過去30年にわたる北朝鮮政策の失敗の一因との考えを示し、「われわれは一貫して歩調を合わせ対応する必要がある」とも述べた。

北朝鮮が今年、記録的なペースでミサイル実験を行う中、金正恩朝鮮労働党総書記は先に世界最強の核戦力を保有する意向を表明した。米韓当局者は、北朝鮮が2017年以来となる核実験を準備している可能性があると述べる。

北朝鮮のミサイル実験は、20カ国・地域(G20)会議など今月開催された複数の国際会議にも影を落とし、尹大統領は中国の習近平国家主席との首脳会談で、北朝鮮の挑発を抑制するために中国が「より積極的で建設的な役割」を果たすよう要請した。

米韓は同地域に空母や長距離爆撃機などを増強することで合意しているが、こうした状況でも尹氏は2万8500人規模の在韓駐留米軍に変化はないだろうと指摘した。

<台湾の「現状」変更に反対>

中国と台湾の緊張が高まっていることについては、台湾問題は国際的な規範とルールに従って解決されるべきと語った。

中国は台湾統一に向け武力行使を放棄することはないと述べているが、尹氏は「現状を一方的に変えようとする試みには断固反対だ」と訴えた。

台湾紛争が発生した場合、韓国や駐留米軍が果たす役割についての質問には「安全保障上の状況を総合的に判断する」とし、差し迫った懸念はその状況を利用しようとする北朝鮮の軍事行動だと回答。「重要なのは、われわれを取り巻く差し迫った脅威に対応し、起こり得る脅威を制御することだ」と述べた。

<日本との協力>

対日関係については、歴史的経緯に起因する法的・政治的な問題が両国間に残っているものの、尹氏は協力関係の強化を中核的目標に掲げている。

尹氏は、日本が北朝鮮の脅威にますます直面しているとの見方を示し「日本政府は北朝鮮のミサイルが自国の上空を通過するのを見過ごせないと考える」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは154円後半で底堅い、34年ぶり高

ビジネス

世界の電動車販売、今年1700万台に大幅増 中国が

ビジネス

インタビュー:過度な円安、消費下支え策も一案 追加

ワールド

アングル:米支援で息吹き返すウクライナ、兵力不足は
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中