ニュース速報
ビジネス

英7月CPI、前年比+2.2%で予想下回る 利下げ観測強まる

2024年08月14日(水)18時33分

 8月14日、英国立統計局(ONS)が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%上昇し、6月から伸びが加速した。写真はロンドンで2022年2月撮影(2024年 ロイター/Paul Childs)

[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%上昇し、6月から伸びが加速した。英インフレ率が加速するのは今年初めて。

ただ、ロイターが集計したエコノミスト予想の2.3%は下回り、イングランド銀行(英中央銀行)が注目するサービスインフレ率は大幅に鈍化した。

CPI統計の発表後、ポンドは対ドルで急落。金融市場が織り込む英中銀が9月に0.25%の利下げを実施する確率は44%となり、統計発表前の36%から切り上がった。

英CPI伸び率は5月、中銀目標の2%に約3年ぶりに戻り、6月も2%で横ばいだった。中銀が今月、政策金利を16年ぶり高水準から引き下げた際、5月と6月がインフレ率の下限との見方を示していた。

中銀は、2023年のエネルギー価格急落の影響が薄れるにつれて、CPI伸び率は7月に2.4%に加速し、年末には2.75%程度に達すると予想。26年上期には再び2%付近に戻ると見込んでいる。

英産業連盟のチーフエコノミスト、マーティン・サルトリウス氏は「今日の統計は、国内の物価上昇圧力が2%目標への持続可能な回帰を頓挫させる可能性は低いという確信を中銀に与えるだろう」と述べた。

物価上昇は足元では一服しているが、多くの家計は過去2年間の急激な物価高になお苦慮。ダレン・ジョーンズ財務次官は統計について、労働党新政権が困難な経済的遺産を受け継いだことを示しており、事態の改善に向けて厳しい決断を下す必要があるとの姿勢を改めて示した。

<ホテル代は下落>

7月のサービス部門のインフレ率は5.2%で、6月の5.7%から鈍化。予想の5.5%を下回り、22年6月以来の低水準となった。

サービスインフレ率の鈍化は、6月のホテル代急騰の反動に加えて、航空運賃、路上での車の故障時の支援サービス、パッケージホリデー、ライブ音楽を含む文化サービスの価格下落圧力を反映している。

6月の物価上昇の一部は、米人気歌手テイラー・スウィフトさんを始めとする有名パフォーマーによる英国ツアーによるものだと考える向きも多いが、統計局は明確な関連性を示すことはできないとしている。

13日に発表された4─6月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比5.4%だった。ロイターがまとめた市場予想と一致し、22年8月以来の低い伸びとなった。

一方、この統計では失業率の予想外の低下も示されており、エコノミストらは、英中銀は引き続き利下げに慎重な姿勢で臨むとみている。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジスト、アーロン・フセイン氏は「成長率に重大なショックがなければ、利下げサイクルは段階的なものとなり、緩和は四半期ごとのペースとなる可能性が高い。利下げが間近に迫っていると期待する投資家は失望することになるだろう」と述べた。

*システムの都合で再送します。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中