ニュース速報

ビジネス

企業の資金繰り支援と市場安定へ努力継続=桜井日銀審議委員

2020年10月21日(水)12時56分

 日銀の桜井真審議委員(写真)は10月21日、日銀が新型コロナウイルス感染症対策として打ち出している金融緩和強化措置を通じ、引き続き企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくと述べた。写真は都内で2016年9月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

[福井市/東京 21日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は21日午前、福井県金融経済懇談会であいさつし、日銀が新型コロナウイルス感染症対策として打ち出している金融緩和強化措置を通じ、引き続き企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていくと述べた。物価ついては、当面弱めの動きを続けるとの予想を示した。

桜井審議委員は、国内の経済活動は持ち直しつつあるものの、引き続き厳しい状況にあることには変わりない、と指摘。コロナ感染抑制と経済回復の両立に向けて金融面からの支援が必要との見方を示した。現在の枠組みのもとで大規模な金融緩和を続け、政府や主要各国中銀との協力体制も堅持するという。

新型コロナの感染拡大・収束の見通しは不確実性が極めて高く、「世界経済の一段の下振れ可能性を警戒する必要がある」とした。

今後の金融政策の方向性を考える上では、経済回復にどの程度の時間を要するかや、回復にかかる期間が想定以上に長期化した場合のリスクを考えておくことが重要だと述べた。現時点で金融機関は充分な自己資本を確保しており「金融システム不安の懸念が大きいわけではない」ものの、実体経済と金融システムの状況を点検しつつ、必要な対応を迅速に行えるよう準備が必要だとした。

先行き、物価上昇率がプラスに転じるためには、経済の回復が着実に進展し、需給ギャップがプラスに戻ること必要だとした。ただ、消費者に定着した根深いデフレマインドや、コロナ前までの数年間でみられた経済構造の変化の影響などもあり、コロナ感染症収束後に物価上昇率がプラスに戻っても、直ちに物価上昇が加速する状況へと進めるか判断は難しいという。

今後の世界経済は、一部地域の生産停止によるサプライチェーン全体の機能不全を避ける観点などから立地の再編に向けた動きが強まる可能性もあるが、コスト面を考慮すれば、グローバルなサプライチェーン自体が失われることは考えにくい、と指摘。「感染症収束が進むとともに、再び以前のグローバル化の趨勢に回帰していく」との見方を示した。

(杉山健太郎 編集:青山敦子)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中