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国内行、経費節減や非金利収入拡大で自己資本改善を=日銀リポート
10月24日、日銀は金融システムリポートに、国内基準の銀行が経費削減や非資金利益の拡大など経営改善策に取り組めば、中期的に自己資本比率で0.5%ポイントの差が出るとの分析結果を盛り込んだ。写真は日銀本店にある案内板。1月23日、東京で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)
[東京 24日 ロイター] - 日銀は24日に公表した金融システムリポートに、国内基準の銀行が経費削減や非資金利益の拡大など経営改善策に取り組めば、中期的に自己資本比率で0.5%ポイントの差が出るとの分析結果を盛り込んだ。日銀は、収益環境の厳しさが続くことが予想される中で、コスト削減や非金利収入の拡充が急務だとみている。
日銀は、資金利益を足元の水準に固定した上で修正OHR(経費のコア業務粗利益に対する比率)を算出し、修正OHRが5%ポイント程度改善する「効率性上昇ケース」と、同効果を織り込まない「効率性不変ケース」を比較。2027年度時点で効率性上昇ケースの方が不変ケースより0.5%ポイント程度自己資本比率が高くなると試算した。
地方銀行が「効率性上昇ケース」に該当するためには、年率1%程度のペースで経費節減を進めると同時に10年後の非資金利益を現状比1割程度上積みする必要がある。
日銀・金融機構局の亀田制作審議役は「実現の難易度は相応に高い。経営効率改善に向けた取り組みを行ってもなお、収益の厳しさがある程度残る」と指摘。その上で「金融機関がすでに足元から取り組み始めているさまざまな経営効率改善策を今後さらに加速していけば、将来の収益力やストレス耐性を相当程度は高めることができる」と話した。
日銀は日本の金融システムについて「全体として安定性を維持している」と評価。前回と表現を変えなかった。今回のリポートでは、金融システムの脆弱性を海外要因と国内要因に分けて分析した。
海外要因では、大手金融機関による投資が急増しているローン担保証券(CLO)のリスクを分析。邦銀が投資する信用格付けが最も高いAAA格トランシェについて「信用リスク面の頑健性は相応に高いが、市場価格下落のリスクに留意が必要だ」と指摘した。
国内金融の脆弱性としては、不動産業向け融資の過熱感に再び言及。金融活動の過熱や停滞の有無を色で可視化した「金融活動指標(ヒートマップ)」の14指標のうち、6月末時点の「不動産業向け貸し出しの対GDP比率」は前回に引き続き「過熱」を示す赤色になった。
日銀は「不動産市場が、バブル期のような過度に楽観的な成長期待に基づく過熱状態にあるとは考えにくい」と指摘。ただ、ヒートマップには必ずしも表れない不均衡が蓄積している可能性も含め、幅広く注視していく方針を示した。
*写真と情報を追加しました。
(和田崇彦 編集:山川薫)