『アステイオン』本誌

2019/5月発売
vol090

特集:国家の再定義──立憲制130年

2019/5発売

2019年は1889(明治22)年に大日本帝国憲法が発布されて130周年にあたる。非西洋地域で初めて、長続きする立憲政治の体制を創りあげたのは、日本の歴史を二分する大事件である。憲法の内容の評価はともあれ、そこで築かれた国家制度の上に、いまの日本の政治も経済も成り立っている。130年の全体を見わたしながら再検討することは、政治秩序のいまを考える営みへつながってゆく。

目次

【特集】

  • 巻頭言苅部 直
  • 国家、政党、国民――重心なきトライアングルの政治史清水唯一朗
  • 地方社会と明治憲法体制――官僚・政党・町村長池田真歩
  • 「天下」の残影――「東アジア」における近代の苦難平野 聡
  • 日本が「国家」になったとき――水戸学から主権論へ苅部 直
  • 明治前期の「治教」――「国家と宗教」問題を再考する齋藤公太
  • 「兵制論」の歴史経験尾原宏之
  • 明治憲法体制創造の論理と立憲主義――主権と統治権について嘉戸一将
  • 「統治権」という妖怪の徘徊
    ――明治憲法の制約を受け続ける日本の立憲主義
    篠田英朗
  • 昭和期日本における「国家」と「社会」趙 星銀

【写真で読む研究レポート】

  • 時間性を帯びた建築のマテリアリティ加藤耕一

【地域は舞台】

  • カッカッカー!「奇習」再創造
    上山市民俗行事加勢鳥保存会(山形県上山市)
    東 浩紀

【世界の思潮】

  • <私>の物語と同時代性――書くこと、読むこと、訳すこと荒木 浩
  • 礼をめぐる文化間対話新居洋子
  • レイモン・アロン――フランス国際関係論の源流宮下雄一郎
  • 「一九八九年」を想起する細谷雄一
  • 経済学のカリスマ的指導者による入門書茂木快治

【時評】

  • 両陛下の桃源体験譚芳賀 徹
  • 幻の建築・建築の幻高階秀爾
  • 「ポスト・トゥルース」の時代と歴史映画渡辺 裕
  • その後の焼杉藤森照信
  • 兵糧攻め奥本大三郎
  • 日本近代の歩みとミシガン大学筒井清輝
  • 「ポスト平成」におけるフランチャイズ化の行方待鳥聡史
  • 恩師の評伝 服部龍二『高坂正堯』を読む戸部良一

【連載】

  • 夢を種蒔く人・厨川白村――最初の音符を奏でるのは大事だ張 競
  • 哲学漫想2 ショーペンハウアーの冒険と逡巡
    ――『意志と表象としての世界』精読
    山崎正和
  • 平成史――元号と時代五百旗頭真
  • 世界史の変容・序説――東南アジアへの視線三浦雅士

【堂島サロンから】

  • 知と徳の融合する場所として猪木武徳

【フォーラムレポート】

  • グローバルな文脈での日本
PAGE TOP