アステイオン

政治思想

高坂正堯の知的遺産とその現代的意義

2016年06月28日(火)
張 帆(京都大学大学院法学研究科博士後期課程・2015年度サントリー文化財団サントリーフェロー)

また、日本の直面する課題の解決を願う高坂の問題意識に注目することも必要である。国際関係論のパラダイムではなく、常に日本の現実から出発することで、高坂の国際政治思想は時代とともに歩み、日本の外交政策について数多くの有益な知見を提示してきた。氏の真骨頂はまさに思考の柔軟性と発展性にある。もし高坂が生きていれば、従来の「政治的現実主義」の立場を取るか、それとも「軍事的現実主義」の立場に傾くか。恐らく氏はいずれの立場にもこだわらず、「日本的現実主義」に基づき国際政治の構造を分析したうえで、日本の国益に最もかなう選択肢を提示するであろう。現在、かつて高坂が提起した「吉田路線」を超える外交戦略の創出は日本の最も重要な課題となっている。そして、この課題を解決するために、我々は氏の知恵を借りる必要がある。

張 帆(ちょう ほ)
京都大学大学院法学研究科博士後期課程
2015年度サントリー文化財団サントリーフェロー

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