<日本はほんの10年前まで世界のEV産業のトップランナーだった。それがいよいよ普及期に入ろうとする今、日本の販売台数は韓国の半分に落ち込んでいる。車載電池でも敗色が濃厚だ。またも太陽電池の失敗を繰り返すのか>

2021年、世界は「EV元年」を迎えた。世界で年間に販売されたEV乗用車(純電動車BEVとプラグインハイブリッド車PHEVの合計。トラック、バスなど商用車は含まない)は657万台で、前年の2倍以上である(図1)。

中国でEV販売台数が前年より2.9倍にも伸び、世界の半分を占めたのが目立つものの、アメリカでも2.1倍、ヨーロッパで1.7倍、韓国で2.3倍と、先進国と中国の全域でEV販売が盛り上がっている。

この勢いでいけば、2030年代前半には先進国と中国の新車販売のほとんどをEVが占めるようになるかもしれない。すでにノルウェーでは2021年の時点で新車販売の86%がEVとなっている。つい数年前まで環境意識と所得の高い一部の人々だけが買っていたEVだが、先進国と中国では今や一般庶民もガソリンエンジン車の代わりにEVを買う時代になった。

停滞する日本のEV市場

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そんななか一人シラケているのが日本である。日本の2021年のEV販売台数は4.4万台。コロナ禍で自動車販売全般が落ち込んだ2020年に比べれば1.5倍の増加だが、2017年のピーク(5.4万台)には届かなかった。

そんな日本も、実はつい10年ほど前は世界のEVのトップランナーであった。世界初の量産EVとして日産がリーフを、三菱自動車がアイミーブを2009~10年に相次いで発売した。2010年には日本のEV販売台数は世界トップだったし、2011~13年はアメリカに次いで世界2位だった。

ところが2014年にEV販売台数で中国に追い抜かれた頃から、日本の自動車産業界と政府が急速にやる気を失っていく。2021年の日本のEV販売台数は韓国の半分であり、かつてのトップランナーの姿はもはや見る影もない。

メーカーのレベルでも、2021年のEV販売台数第1位はテスラ(米)、2位はBYD(中国)、3位は上汽GM五菱(米中合弁)、4位はフォルクスワーゲン(ドイツ)、と欧米・中国のメーカーばかりで、世界トップ20に入っている日本メーカーはトヨタ(第16位、11.6万台)だけである(Pontes, 2022)。

EVは充電して走るために車に電池を積まなければならない。ところが、電池というやつはかさばる上に高価だときている。そのためEVも高価で、普及が進まなかった。自動車産業は1モデルを年間10万台ぐらい大量生産することによって生産コストを下げ、競争に打ち勝つことができる。日本全体でEV販売が4万台しかなければ、どのメーカーもEV生産は採算が合わず、赤字になってしまう。日本の自動車産業界のEVに対する熱意が続かなかった理由は、こうしたコスト高→過小な市場規模というジレンマから抜け出せなかったことにある。

今こそ生産規模を拡大すべきなのに