そもそも日本は中国に比べて5Gに対してシラケており、いっこうに期待感が盛り上がってこない。中国では5Gサービスへの加入者が2020年6月時点ですでに1億人を超えている。(中国移動が7020万人、中国電信が3784万人、中国聯通は発表なし)。一方、日本では、2020年3月末時点のドコモの5G加入者数はわずかに1万4000人である。(他の2社は不明)。

中国政府は、コロナ禍で傷んだ経済を立て直すために、今年は「新型インフラ建設」を打ち出し、5Gのインフラもその一環として建設が推進されている。今年6月時点で中国移動は全国で14万基、中国電信と中国聯通は共同で14万基の5G基地局を設置しており、年内にはそれぞれ30万基以上の基地局が整備される見込みである。これだけの基地局が整備されると、南京市、成都市といった各省の中心都市ばかりでなく、蘇州市、常州市といった全国293の地区レベルの都市でも中心市街地で5Gサービスが使えるようになる(『経済参考報』2020年6月10日)。

一方、ドコモの場合、2020年7月時点で5Gサービスが使える場所は、ドコモショップの店内など全国でわずか262か所である。5Gサービスに加入したとしても、お店でちょっと使ってみることしかできず、外に出たらもう使えない、というのでは、誰も加入したいとは思わないであろう。ドコモの目標は、2021年6月までに基地局の数を全国で1万基に増やすというおっとりしたものであり、スタートダッシュにおける中国との差は歴然としている。

技術革新の主役から脇役へ

こうしたドコモの不熱心さは、中国の通信会社と比べて不熱心であるばかりでなく、約20年前のドコモ自身と比べても不熱心である。

2001年にドコモが世界に先駆けて第3世代(3G)の通信サービスを始めたとき、それはそれは熱心に携帯電話の世代交代を推進した。ドコモは3年間に1兆円の設備投資を行って日本全国に3Gの基地局網を整備した(『産経新聞』2002年3月12日)。そればかりか欧米や香港の通信会社に対して1兆9000億円もの投資を行い、3Gへの移行を世界的に推進しようとした。ドコモの3Gへの積極投資は、日本が技術的に孤立した第2世代(2G)を早く終わらせたいという動機に基づいていた。

いまのドコモに往時のような熱心さはない。5Gの基地局の整備には2023年度までに1兆円を投じる方針だという(『日本経済新聞』2020年7月10日)。20年前には3年間で1兆円を投じたのが、今は4年間で1兆円である。3Gの時にはドコモなど日本勢は技術革新の主役だったのが、5Gにおいては脇役にしか過ぎない。そうした認識が5Gに対する不熱心さの背後にあるのかもしれない。

5G活かすサービスで勝負を