先日、来日した中国社会科学院の研究者たちに不動産市場の回復について尋ねてみましたが、彼らは一様にこれは実需を反映しているのではなく「虚需」である、つまり単なる投機の再燃である、と否定的でした。たしかに中国全体の平均値としては住宅市況の回復やそれに伴う鉄鋼・セメント等の産業の回復を期待できるような状況にはありません。むしろ、今年から数年間、鉄鋼業や石炭産業の過剰な生産能力、過剰に建設された住宅、そして企業による過剰な借入、といったさまざまな「過剰」の処理と整理をしなければならないはずで、その過程で企業倒産や不良債権問題などさまざまな問題が噴出することが予想されます。とりわけ、遼寧省では2016年上半期のGDP成長率がマイナス1%となるなどすでに情勢は深刻です。
しかし、いま起きていることが投資や重厚長大型産業の成長に牽引された経済成長からさまざまなネットサービスや金融サービスが牽引する消費、サービス産業、イノベーション中心の経済成長への転換だとしたら、後者が盛んな地域で不動産業や投資が活発になるのは当然のことです。景気の状況がまだら模様になっているのは経済構造の転換が進行中である証しです。今後しばらくは国全体としては曇りだが、ところどころ晴れ間がさし、ところどころでは雨が降るという景況が続くと思います。