つまり、安心を求め続けた社会は、思考停止社会となり、鈍感社会となり、世の中、世界、あるいは宇宙に起きるリスクに対する感度がなくなり、対応策も準備せず、いざそのリスクが実現したときには、破滅する可能性が高まるのだ。

現在の新型コロナウイルスの危機は、確かに危機だ。しかし、絶望的な危機でもなく、頻繁に起こる、歴史的には普通の、定型的な危機だ。この定型的な普通の危機に対し、全世界で、社会的にパニックになっているようでは、本当に予期せぬ危機が来たときに、我々の社会は滅亡してしまうだろう。

コロナウイルス危機以外の危機は、今、この瞬間にも世界に溢れている。紛争の危機、貧困の危機、虐待の危機、あらゆる危機、しかも本質的で解決にエネルギーと知恵とカネのいる危機をおっぽり出して、目先のささいな危機に、パニックから逃避し、安心を得るためだけに世界中のエネルギーを集中するのはどうかしている。

だから、我々の社会は滅亡の危機にあると私は考えるのである。

20200317issue_cover150.jpg
2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます