そうした判断基準、あるいは「栄光とか成功」そのものでさえ、本来はあやふやなものである。それを表現するためにレッシアは、美しく引き締まった肉体のモデルを撮影しながら、同時に煌びやかなダイヤのように見えるネックレスをつけた鶏も、その1枚1枚の作品の中に共存させているのである。所詮、我々人間の価値観なんてこんなもの、と言っているかのように。

ちなみに、この「The Champions」シリーズでも「How would have been?」シリーズでもそうだが、これらコンセプチュアルな作品を創る時はディテールをとても意識している、とレッシアは言う。ディテールにより、作品のレベルを高めることもできるし、逆に破壊することもできるからだ。

「God save the Queen」シリーズも面白い作品だ。人間社会に存在する不可思議で非論理的なオブセッションを探求しているのだろう。だろう、と書いたのは、このシリーズのコンセプトについては、見る側が勝手に判断してくれたらいい、とレッシアが答えたからだ。

いずれにせよ、エリザベス女王をある種パロディー化したと思われるこの作品シリーズは、人間社会の本質を突いているのかもしれない。権力とマネー、畏怖と憧れ、あるいは"親方日の丸"的感情、シンデレラ症候群、権威への反帰属性や反感、そうしたものが見え隠れする。そして、それらは融合し、ときに反発し、時代と共に移り変わっていく。

だが、レッシアが彼女の世界観で答えてくれた言葉を借りれば、それら全ては虚栄であり、消滅する運命にあるのかもしれない。結局のところ個人の価値や生きがいなんて、社会の中では簡単に測れないのである。

【参考記事】北欧の廃墟でフィクションのポートレートを撮る意味

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Romina Ressia @rominaressia

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