とはいえ、イングラハムの作品の最大の魅力は"現実の決定的瞬間性"だ。それを南カリフォルニアの強烈な陽光の中で見極める眼を持っているのである。そこに彼独自のセンス、あるいはムードを演出しているだけだ。
また、写真そのものには、物語的要素はほとんど含まない。なぜ、という私の問いには、「あえて物語の内容ははっきりさせていない。写真の中にあるあいまいさは、私のコンセプトだ。それをオーディアンス自身に感じるままに判断してほしい」という答えが返ってきた。
彼はいう。「ただし、そのあいまいさやアプリでのポスト・プロダクションで人を倫理的に欺くことはしない。それは肝心なところだ」
イングラハムは、写真とセラピーの関係についても語ってくれた。 「自分自身から抜け出して、クリエィティブな作品プロセスの中で自分自身を喪失させることは、すごく重要だ。特にここ最近のアメリカの政治状況の中で正気を保つためには、写真が大きな助けになってくれる」
ちなみに、彼は政治に高い関心を持っているが、残念なことに、ここで紹介した2番目の写真(記事1ページ目の下)以外は政治的要素を含む写真はほとんどない。無論、ドナルド・トランプという次期大統領の出現で今後はどうなるか判らないが。
【参考記事】本音を出さない政治家の、本質をえぐるフラッシュ
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
David Ingraham @dayzdandconfuzd