今日のAIブームは、NVIDIAがコンピューティングコストを大幅に下げたことが最大の要因かもしれない。

目と耳を持ったAI

 その後のAIの進化には、目を見張るものがある。2011年にGoogleのコンピューターが膨大な枚数の猫の写真を読み込むことで、猫の特徴を自分で学習し、猫の写真を正確に認識できるようになったが、そのわずか4年後にはAIは人間よりも正確に画像認識できるようになっている。

 ImageNetとよばれる画像データベースに蓄積された写真を見て、その写真に写っているものが何であるのかを認識するテストで、人間は平均で約5%の写真を誤認するという。人間のエラー率は5%ということだ。

 AIは順調にエラー率を低下しており、2011年には25%だったエラー率が2012年には15%、2014年には6%となり、2015年には3%を達成。ついに人間のエラー率を下回った。人間より画像を正確に認識できるようになったわけだ。

 音声認識では、Microsoftが強い。今年9月にはエラー率が世界記録の6.3%を樹立したかと思えば10月にそれを更新。5.9%を記録した。これはプロのディクテーター(速記者)と同レベルだという。人間を超えるのは時間の問題だと見られている。

 Microsoftの研究者は「ここまでの成果を挙げれるとは、5年前には想像もつかなかった」と語っている。

 AIが人間を超える「目」と人間並みの「耳」を持った。「目」と「耳」は学習のために最も重要な感覚。「目」と「耳」を持ったことでAIは、今後さらに急速に学習していくことになるのだろう。

出揃ったNVIDIAの半導体

 「目」のAI、「耳」のAIともに、使われているハードウェアはNVIDIAのGPUだ。

 企業で最も早くNVIDIAのGPUを採用したのは、Baidu、Google、Facebook、Microsoftなどだが、NVIDIAが協力する企業の数はここ2年間で35倍にも増えており、3400社を上回るまでになったという。

 領域としては、ヘルスケアやライフサイエンス、エネルギー、金融サービス、自動車、製造、メディア・娯楽、高等教育、ゲーム、政府など。ありとあらゆる産業が、AIを活用しようとしていることが分かる。

 またNVIDIAはこうした業界からの要望に応えるため、PC向けにはGeForce、クラウドやスーパーコンピューター向けにはTesla、ロボットやドローン向けにはJetson、そして、自動車向けにはDRIVE PXといった名称のGPUを揃えてきた。

 準備万端。これからいろいろな産業で、AIを搭載した製品やサービスが怒涛の如く生まれてくることだろう。本格的なAI革命が、幕を開けようとしているわけだ。

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