倉庫内に入庫された商品のラベルなどを読み取って自動的に仕分けしたり、在庫リストを管理してくれるようにもなるだろう。

 熟練の漁師にしか見分けられないような魚群探知機の魚影もAIなら見分けられるので、高級魚に的を絞った漁業が可能になるかもしれない。

「人間の目をはるかに超える精度の『目』をモノやデバイスに取り付けることができれば、どのような製品やサービスが可能になるのだろうか」という観点で周りを見渡せば、ビジネスチャンスはあちらこちらにころがっているはずだ。

 先日、取材でシリコンバレーに行った際に、スタンフォード大学AI研究所の元所長で、現在は中国バイドゥ(百度)のチーフサイエンティストを務めるAndrew Ng氏の講演を聞く機会に恵まれた。講演の中で同氏は、「ディープラーニングが今後5年以内に何も影響を与えない産業など存在するんだろうか。学生たちと、1つ1つの業界を例に取って議論してみた。結果は、そんな業界は1つもない、ということだった」と語っている。

 AIチップの小型化、低価格化が進むことで、製品、サービスのカンブリア大爆発が今、まさに起ころうとしているわけだ。

強みは外国人リサーチャーと働きやすい環境

 彗星のように現れたLeapMind。いったいどんな会社なのだろうか。

 取締役COOの渡辺一矢氏によると、従業員はアルバイトも含め20名ほど。まだまだ小規模だ。従業員の半数近くは外国人だという。

 渡辺氏に、CEO松田総一氏の人物像を尋ねてみた。渡辺氏は「松田くんは、飲むと『ドラえもんになりたい』『ロボットになりたい』とずっといってるおもしろいヤツです」と笑う。やはり発想がユニークな人物なのだろう。

 技術面とビジョン作りは松田氏が一手に引き受け、それ以外の営業、人事、総務、広報など、すべてを渡辺氏が担当しているのだという

 渡辺氏に同社の強みを聞いても、「強みですか。うーん、なんでしょうね」という返事。そこで同社に業務委託で参加しているAIリサーチャー兼エンジニアの遠藤太一郎氏に、代わりに話を聞いてみた。

「松田さんの技術力もさることながら、渡辺さんが作り出す組織の雰囲気がいいんです。外国人にとっても働きやすい環境なんです」と解説してくれた。

 研究者数だけ見れば、LeapMindのようなベンチャー企業よりも、大手企業の方がAI研究者を数多く抱えているはず。にもかかわらず、大企業からのひっきりなしの引き合いが続いている。どうしてなのだろう。

目指すは「データ交換所」