その自然言語処理の課題を解決するのは、最近何かと話題のAI技術「ディープラーニング」ではなく、「Universal Probability Language」という技術なのだという。

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 同教授によるとUniversal Probalitity Languageは、「数学で表記できる確率モデルならどんなモデルでもこの言語を使うことで、機械学習に使うことができる」という。

 残念ながら僕にはこの説明では何のことだかさっぱり分からない。同行したAIのリサーチャーにも講演を聞いてもらったが、彼にもこの説明ではよく分からないということだった。

 ただ自然言語処理がAI研究者やテック企業大手にとって次の課題となっていることは間違いないようで、AI関係者の間で最も注目されている半導体メーカーNVIDIAのCEOのJen-Hsun Huang氏によると、中国のAlibaba や Amazon、IBM、Microsoftなどのテック大手がNVIDIAのプラットフォームを利用し始めたようで、「検索、認識、推奨、翻訳など、消費者向けインターネットサービスにAIを導入するレースが始まった」と語っている。

 Google自身、どこよりもAIの研究に力を入れているので簡単に覇権を譲り渡すことはないと思うが、AIを利用したネットサービスの覇権争いが激化しようとしていることは間違いなさそうだ。

「AIによる言語理解は将来的にも恐らく不可能」

 さてこの「自然言語処理技術があと5年で完成する」という発言があまりに衝撃的だったので、シリコンバレーの研究者たちに感想を聞いてみた。

 メールやメッセージングといった情報の洪水の中から重要な情報だけを取り出すパーソナル・データ・フュージョンという技術を開発中のAIベンチャーのModuleQのDavid Brunner氏は、「自然言語処理技術でメールの中身をAIが理解することは将来的にも恐らく不可能。なのでわれわれはその方向を目指さない」と言う。Russell教授とは正反対の意見だ。

 リクルートがシリコンバレーに設立したAI研究所Recruit Institute of TechnologyのAlon Halevy所長にUniversal Probability Languageのことを聞いたところ「聞いたことがない」と言う。

 どういうことなのだろう。

 Russell教授によると、Universal Probability Languageはここ1、2年で急速に進化した技術だというが、それにしてもシリコンバレーの中でも、ここまで意見が分かれるのはいったい何が起こっているのだろうか。

言語処理に2つの考え方