アメリカでは昨年、2人の子供を含む3人が麻疹(はしか)で死亡した。本来であれば避けられたはずの死だ。アメリカの昨年のはしか感染者数は2276人に上り、2024年の285人に比べ8倍近くに膨れ上がった。この感染急増も防ぎ得たはずだ。ではなぜ回避できなかったのか。

昨年2月に保健福祉長官に就任したロバート・ケネディJr.は、長年ワクチンと自閉症を関連付ける根拠のない説を唱えてきた。ワクチンが「アメリカ中の子供たちを毒している」と主張するケネディの発言が、ワクチン接種率の低下に影響している可能性は高い。その結果、はしか感染の急増につながったのだ。

ケネディは就任後、予防接種諮問委員会を構成する外部専門家を全員解任し、ワクチン懐疑派を起用した。予防接種の代わりにビタミンAを摂取するよう呼びかけ、テキサス州では一部の親たちが子供にビタミンAを過剰投与した結果、子供たちに中毒症状が出ていることが報告されている。

公衆衛生における科学的常識からの逸脱はアメリカだけの問題ではない。スロバキアでは新型コロナ対応の調査責任者に任命された反ワクチン派のペテル・コトラールが、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンがヒトDNAを改変するという根拠なき主張で、使用の停止を求めた。

©Project Syndicate

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【note限定公開記事】反ワクチン政策が人命を奪い始めた


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