確かに腕はその重量を挙げている。しかし、手にはその重量を挙げる力がない。つまり、実際には挙げていない。肉体的な能力を解き放つのにストラップやフックがいつも必要だとしたら、それはおかしな話になる。
ニセモノの習慣をつくるし、強さだって見せかけだ。ジムの中ではこのごまかしが通用するが、現実世界では? 急な手仕事をやることになった時や、非常時に重いものを動かすことになった時、どうする? リストストラップやフックを持ち歩くわけにはいかないだろう?
ストロングマンでなくても、数世代前の男たちは今の男たちよりはるかに強い手を持っていた。重さがある物体を油圧機械で吊り上げるようになる前は、袖をたくし上げた男たちが油圧機械の代わりをしていた。
鉱山や鋳物工場、農場で長時間働く男たちは、強力な腱を備えたパワフルな前腕と、その先に分厚くてタコだらけの手を持っていた。それは健康で便利な手だった。

その時代の男たちの手には、ストラップやフックは必要ない。そこから百数十年しか経っていないのに、今の平均的な男たちといえば、キーボードを叩く時かビールの栓を抜く時くらいしか手を使わないようになっている。
昔の強い手はとても役立つ。瓶のフタを開けることから、ねじ廻しできつく締まったねじを外すことまでに、強い手が必要になる。
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