<晩年は故郷に戻るのか、移住先に定住するのか。中国人の選択に変化が訪れている>
風刺漫画家のラージャオとコラムニストのトウガラシが、本誌のコラムで中国の反体制アーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ)を批判していた(1月31日公開:中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体)。
ヨーロッパに亡命中だった艾未未が昨年末に高齢の母親を見舞うため帰国し、ドイツメディアの取材に共産党政権を礼賛するようなコメントを述べたからだ。
艾未未の「変節」は、中国の変化を願う者たちにとっては確かに残念なことかもしれない。だが、私には彼の気持ちがよく分かる。国を捨てた者であっても、望郷の念は拭い去り難いものだ。
「落葉帰根」という言葉がある。木の葉が落ちれば根に帰るように、死んだら故郷に戻るという意味の諺(ことわざ)である。中国人は伝統的に落葉帰根を願う民族であり、長年外国に住んでいても、晩年は中国に帰りたいと思っている人が少なくない。
1978年に始まった改革開放により、中国では国外移住者が急速に増えた。1987年に来日した私もその1人だが、そうした新華僑たちが今、望郷の念を抱く年齢に差しかかっている。
日本人と結婚し家族を儲けた私は、日本に根を下ろす決心をしているが、それでも艾未未が10年ぶりの帰国を決めた心情は察するに余りある。