戦後70年、日本が平和だったのは、平和を願っていたからではない。冷戦体制の中で、アメリカが核の傘で中国やソ連の攻撃を抑止していたからだ。1950年の朝鮮戦争のときも、米軍基地がなかったら日本は戦場になっていただろう。軍事同盟の目的は戦争を起こすことではなく、戦争を抑止することにあるのだ。

 最近は中国の軍備増強で、「新たな冷戦」ともいうべき緊張が東アジアで高まっている。北朝鮮は数百発のミサイルを配備し、自衛隊のスクランブル(緊急発進)は10年間で7倍に増えた。アメリカがアジアから撤退する姿勢をみせる中で、権力の空白ができると、それを埋めるのは中国の海洋進出だ。

 今のように日米同盟が片務的なままでは、有事に対応できない。4月に日米で合意した自衛隊と米軍の防衛協力の指針(ガイドライン)では、日米の共同作戦計画を立てることになっており、いざというとき日本が「自衛官が危ないから」といって作戦を拒否することはできない。

 戦争で自衛官の生命を心配する野党の平和ボケは重症だが、安全神話を守ろうとする政府の姿勢も危険だ。戦争は起こらないと信じても起こる。戦争が始まってから、それに対応する法案を国会で審議するわけにはいかないのだ。考えるべきなのは自衛官のリスクではなく、国民のリスクである。