【子どもの教育に自信をもてなくなった理由】

今申し上げていたことでおわかりだと思いますが、少なくとも私どもの世代は、自分が育った育ち方をよしとしない。はっきり言えば、カボチャとサツマイモと、半ズボンと、あれはまずかった。だから子どもには冷蔵庫を開ければいつでも食べ物が出てくるようにしてと、こういうふうにやっている。

 

そうすると、つまり自分の過去を否定してしまった人というのは、他人にどうしろと言えなくなるということに気がつきます。それが今申し上げた歴史観の問題ですね。

ですから、それを大げさにしていきますと、日本という国がどういうふうに動いてきたかということを、どういうふうに把握するかということが言えなくなるんです。

違うやり方もいいでしょうと。やってみて、違う育ちかたをした今の子どもが大きくなってみますと、これはちょっとおかしいんじゃないかと、今度は言い出す。これも変な話であって、自分自身の育ちを肯定するのかしないのか、まずそれがあるわけで、それをうっかりといいますか、ある意味で全否定してきたのが現代ですから。そうしますとわけがわからなくなって当然だなと私は思うようになりました。

養老孟司こう考えると、うまくいく。~脳化社会の歩き方~養老孟司『こう考えると、うまくいく。~脳化社会の歩き方~』(扶桑社)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます