中国政府は過去5年間、プロパガンダやイデオロギー活動を強化してきた。報道によれば、政府は毎年、偽情報やプロパガンダのキャンペーンに数十億ドルを費やしている。

20年前の戦略とは異なり、より野心的で、国境を超えて影響力を拡大しようとしている。中国が国家機関を通じ、反政府的な個人や団体に対して居住地に関係なく嫌がらせをし、脅迫し、影響を与えようとしていることが米政府機関、議会公聴会、人権団体の資料で立証されている。

例えば、カナダの安全情報局(CSIS)は、同国の過去2回の総選挙に中国が介入したと主張している。スペインの人権団体セーフガード・ディフェンダーズは2022年の報告書で、中国が53カ国に少なくとも102カ所の「在外警察署」を設置していることを明らかにした。米司法省は、アメリカ国内で反体制派に対する嫌がらせや監視を行った中国人を相次いで起訴している。

中国政府によるこうした秘密裏の取り組みは、アメリカ、カナダ、ドイツやフランスといった民主主義諸国との関係をさらに悪化させている。

国内経済が低迷しても反体制派の取り締まりのコストは惜しまず

国内経済が低迷しているにもかかわらず、中国は抑圧と政治的検閲を優先し続けている。経済の問題は、中央と地方の政府支出に課題をもたらす。国務院(内閣に相当)は昨年3月、中央省庁の職員を5%削減すると発表した。同年の報道によれば、全国の地方政府が、政府予算の負担を懸念して請負業者を解約している。

地方政府の負債に新たなリスクがあるとも報じられている。これは、パンデミック下の「ゼロコロナ」政策が悪化させた長期的な問題だ。しかし中国政府は、きめ細かく的を絞った反体制派の取り締まりにかかるコストについては懸念していない。その成果が漠然としていても、だ。

Xでフォロワーの1割以上を失ったにもかかわらず、李は検閲されていない中国のコンテンツを望む人々のためにアカウントを運営し続けると誓った。

中国政府は無検閲の情報を求める個人を脅し、嫌がらせをしようとするかもしれない。だが、経済の減速と地政学的ジレンマの根本原因に対処しなければ、中国は近い将来、ソーシャルメディアと政治的弾圧にますます多くの資源を費やさなければならなくなるだろう。

From thediplomat.com

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