いつまでも自閉症でなかったらと想像しては苦しむだろう

そんな私が誰より嘘のない関係を築けるのは、同じ自閉症の子を持つ親たちだ。

苦労は当事者にしか分からない。息子が3歳までにおむつを卒業できたのは私の人生最大の手柄だが、その気持ちが分かるのは自閉症児の親だけ。息子を映画館に連れて行けない理由が分かるのも、飛行機を使う家族旅行に息子抜きで行く私を非難しないのも、彼らだけだ。

私は息子の可能性を信じ、彼のために戦い続けるけれど、この波乱の旅路に感謝する日は決して来ないだろう。

いつまでも、自閉症でなかったら息子は、私たち家族はどんな人生を送ったのかと想像しては苦しむだろう。手に入ると思っていた人生を奪われたことへの怒りや悲しみに、涙を流すだろう。この手で自閉症を取り除いてやれたらと願わない日はないだろう。

親も介護者も、子供を愛しているなら自閉症も愛さなければならないなんて思い込む必要はない。私は息子を心から愛しながら、彼の自閉症をずっと憎み続けるだろう。これが本音だ。

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