「問題の一環は、スポーツ賭博がスポーツ界と密接に絡み合っている現状だ」と、ホールデンは話す。プロリーグは大手賭博業者と提携するようになり、米スポーツ専門チャンネルのESPNも公式ギャンブルプラットフォームを擁している。

最初は娯楽目的でも、ギャンブルは依存症につながりかねない。全米ギャンブル依存症対策協議会(NCPG)が運営するホットラインへの電話相談件数は、この3年間で倍増した。「助けを求める人が増える一方だ。依存症になるまでの期間が短期化していることを示す証拠も複数存在する」と、NCPGのキース・ホワイト事務局長は言う。

ギャンブル依存症リスクの3割は遺伝性で、残りの7割は環境が要因だと、ホワイトは指摘する。依存症になりやすい人の場合、コカイン依存症と同様、重度のギャンブル癖は脳の器質的変化と関連している。

賭博愛好者は「耐性」を獲得するため、賭け金を増やさなければ以前と同じ興奮を得られない。さらに、ホワイトによれば「負けた場合も、勝ったときとほとんど変わらないほど心理的に興奮し、ほぼ同程度のドーパミンが放出される」と言う。

だがコカインと違って、ギャンブルに過剰摂取はあり得ない。だからこそやめるのが難しく、賭け金を手に入れるために窃盗をしたり、深刻な精神疾患を発症する「絶望段階」に至る可能性がある。一般的に、この段階にならないと、依存症患者は助けを求めようとしない。

後れを取る法制化の動き

専門家が特に懸念しているのは、米国内で最も急速にスポーツ賭博が普及している若年男性層だ。スポーツ賭博を合法化した州の大半は21歳以上という制限を設けているが、仲間や家族・親族のアカウントを利用する抜け道が使われている。

若年層を中毒にする「インゲーム・ベット」とは?
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