女性のもう1つの工夫は、美である。服装でもヘアスタイルでも自分の美しさを表現できないので、顔で自分の美しさをアピールする。

鼻の美容整形手術をする女性の数は、イランが世界一とも言われる。街では美容整形のダウンタイム(施術後に腫れなどが引くまでの時間)にある若者をよく見かけるが、隠すどころか見せびらかしている。これもイラン女性の、装いの制限に対する工夫である。

しかし、女性の自由への戦いはスムーズには進まない。今回のように悲劇が起こり、大きなデモの波となることもある。だが彼女たちが諦めず戦っているのには感嘆する。と同時に、日本のニュースでの扱いの小ささを残念に思う。他の国では、イラン女性たちに同調して抗議の意味で髪を切る国会議員や著名人も多くいるのだが。

日本はファッションの国だ。どの欧米の国よりもファッションの自由が認められている社会で、伝統的な洋服のスタイルを覆す川久保玲や山本耀司、三宅一生を生んだ国だ。

ロリータファッションやコスプレで世界の度肝を抜いた国でもあり、他人の服装に寛容な国民性だ。そういう日本人だからこそ、装いの自由を求めるイラン女性たちの戦いにも心を寄せてほしいと思う。

toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン

SHAHRAN ISHINO

1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」  Twitter:@IshinoShahran
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