人質全員の解放は困難

難攻不落のはずだった壁の向こうに潜むパレスチナの戦闘員も覚悟を決め、備えを固めている。ハマスの広報官バッサム・ナイームは本誌に「総力を挙げて人民を守る準備」をしていると語り、「簡単にはガザ地区に入らせない。こちらもあらゆる手段で抵抗する」とした。

それでも、かつてサエレットの司令官を務め、政府の要職を歴任してきた元首相のバラクは信じている。今も水面下のどこかで外国の政府(エジプトやドイツ、カタール、スイス、そしてアメリカなど)がハマスの政治部門と連絡を取り、多くの外国人を含む人質の解放に向けて努力しているはずだと。

実際、ハマスが10月20日にアメリカ人のジュディス・ラーナンと娘のナタリーを解放した背景にはカタール政府の働きかけがあったとされる。

ただし人質全員の解放は困難だとバラクは考える。「この問題で決定を下すのは、ハマスの政治部門ではなく軍事部門の指導者だろう。

だが彼らもガザ地区の北部から南部に退避している可能性が高い。身を守るためだ。もう北部には実戦部隊しか残っていないだろう」

過去にサエレットが実行した作戦に比べて、今回の状況は格段に複雑であり、最終的な決断はファクトとデータを握っている人間が下すしかないとバラクは言う。「つまり、彼らを信じるしかない」のだと。

そして「私の直感だがね」と前置きして、こう言った。

「この手の議論を深掘りするのは禁物だ。私らに、そんな資格はない」

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