反発が臨界点に達した

オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院のフォラシャデ・スーレ研究員も、地政学的な変化は「特にフランス語圏アフリカでのフランスの影響力の転換点」になっていると言う。「トルコや中国、イランのような新興の戦略的パートナーは、こうした地域で軍事的なプレゼンスを強めている」と、彼女は指摘する。「西側の大国はフランスを、アフリカにおける多国間協調の取り組みの先例と見なしてきた。だが今はフランスを手本とするのをやめ、サヘル地域やフランス語圏アフリカへの戦略で独自色を強めて、反仏感情が自国に及ぶのを回避しようとしている」

スーレはここで2つの教訓を指摘する。第1は、アフリカ側とパートナー国との安全保障面での利害が一致していないという印象をアフリカ諸国に与えてはならないということだ。「フランスの対アフリカ関係について言えば、アフリカ諸国よりフランスの国益になる部分のほうが大きいとみられていた」

スーレが指摘する第2の教訓は、アフリカの世論に可能な限り配慮することだ。アフリカの人々は常に、他国の軍や軍事基地が駐留していることに反発していると彼女は言う。「こうしたパートナーシップについて、大国とアフリカのパートナーの間に十分な意思疎通がなければ、利害の相違やアフリカ側からの反発につながりやすい」

アリカーナ・チホンボリクアオはアフリカ連合(AU)の常駐代表として赴任したアメリカで、アフリカの反発の高まりを感じていた。そこで彼女はアフリカの外で、特にアフリカをルーツに持つ移民にこの問題への意識を高めてもらおうと活動してきた。

「いま起きている現象は、アフリカでのフランスによる搾取の実態を知る人々の反発が臨界点に達したということ」と、チホンボリクアオは指摘する。ニジェールのクーデターは、いくつもの国で起きている「アフリカ革命」の最新の事例だと、彼女は言う。

アメリカについてチホンボリクアオは、ニジェール軍政へのここ最近の対応に見られるような姿勢の変化を評価する。だがアフリカ諸国との永続的なパートナーシップを実現するには、従来のアプローチを根本から見直す必要があると主張する。

「アフリカの人々は『他の国々を相手にするときと同じく、私たちにも敬意を持って接してほしい』と言っているだけだ」と、チホンボリクアオは言う。「搾取を続けるためにアフリカに来ても、うまくいくはずがない。『戦略を変えなければ、アフリカではやっていけない』というのが、彼らの言い分だ」

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