<「スポーツブラ」に見えるが、答えはノー。カタールW杯でも男子選手が着けた「GPSベスト」だが、これが何のためにあるか、知っていますか>

カタールで開かれていたサッカーワールドカップ(W杯)の1次リーグで、韓国のフォワード、黄喜燦(ファン・ヒチャン)はポルトガル戦に途中出場し、後半アディショナルタイムに見事な決勝ゴールを決めた。

彼はユニホームを脱いでファンの歓声に応えたが、下に何か黒いものを着けていた。男性用のスポーツブラのようにも見えた。

最近、多くの男子サッカー選手がスポーツブラのようなものを着けているのを目にする。

女子選手の場合は、体に合ったスポーツブラを着けるとパフォーマンスが上がることが、専門家の研究から分かっている。しかし、男子選手にはブラなど必要ないはずだ。どうして多くの選手が着けているのだろう?

その答えは、科学のため。もっと具体的に言えば、個々の選手のデータをGPSで追跡するためだ。

この「スポーツブラ」は、正しくは「GPSトラッカーベスト」と呼ばれる。小さなGPSデバイスを固定するポケットが、背中の部分に付いている。

コーチはこれを使って、選手が練習や試合で走る距離やスピードのデータを収集。それを基に、いま選手に負荷をかけていいか、それとも休ませるべきかなど、トレーニングの強度を調節できる。

AIを使って試合分析

ビッグマネーが動く他の人気スポーツと同じで、今やサッカーもさまざまなデータを駆使している。

選手がどちらの足でどれだけシュートを打っているか、どれだけパスを成功させているかといった数字を集めるのは当たり前。中には人工知能(AI)にゲームの一定の局面を分析させて、これまでのデータを基に、選手たちがどう動くかを予測させるチームもある。

科学はチームの戦術まで変えてしまう。米プロバスケットボールのNBAではデータを分析した結果、3ポイントシュートを試みる頻度が増えた。

サッカーでは逆にロングシュートが減った