志願兵まで戦闘を拒否

ロシア当局は見せかけの「住民投票」でウクライナ東部や南部を併合し、「国土防衛」を口実に侵攻をエスカレートさせる意向をちらつかせている。

ロシア政府内のタカ派はさらに強気で、外国の侵攻には核兵器の使用も含めあらゆる軍事オプションで対抗する構えだ。

「ロシアの領土への侵入は犯罪であり、自衛のためにはどんな手段を用いてもいい」と、ロシアのドミトリー・メドベージェフ前大統領は20日にメッセージアプリのテレグラムに投稿した。

西側当局者によれば、ロシアは侵攻初期に精鋭部隊が壊滅的な損失を受けた上、その後も増え続ける死傷者の補充に追われ、ウクライナに十分な兵員を送り込むことがますます困難になっている。

「ロシア政府は兵員不足を補おうと新兵募集に躍起になっている。ロシア軍の戦績は惨憺たるもので、ハルキウ(ハリコフ)の(ウクライナに奪還されたという)報を受けて、ロシアの多くの志願兵が戦闘を拒否するありさまだ」と、米国防総省の高官は19日に記者会見で語った。

米国防総省筋によれば、民間軍事会社のワーグナー・グループがタジク人やベラルーシ人、アルメニア人の雇い兵を募集し、ロシアの刑務所でも受刑者約1500人に戦闘参加を呼び掛けたという。だが若い未経験の兵士が多数死んでいると知り、多くの服役者が拒否しているもようだ。

一方、ウクライナ当局はロシアが住民投票実施を宣言したことを利用して、西側からさらなる武器援助を取り付けようとしている。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャクは、前線から約300キロ離れたロシアの軍事施設などを攻撃できる陸軍戦術ミサイルシステムや最新鋭の戦車の供与、ロシアの特定の産業にさらなる制裁を科すことをアメリカに求めた。

プーチンを追い詰める包囲網は一層狭まりそうだ。

From Foreign Policy Magazine

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